2024年1月の記事一覧
182 庭先で担任の先生に会う
182 庭先で担任の先生に会う
2022年5月18日
長男は、
「学校に行きたい」
「学習したい」
という発言をよくするようになりました。
「朝も起きたいからお母さん絶対起こして!」
と何度も何度も頼んでくるのに、就寝時に寝落ちするまでスマホで動画を見る事をやめる事が出来ません。
・・・
今日、担任の先生が我が家に長男を訪ねてくる事になっています。
長男は、
「先生に角度教えてほしいな」
と言っていました。
・・・
午後、先生が訪ねてくると、長男はソワソワそわそわしていました。
しばらくすると、自らゲームを置き、 心の準備なのかしばらく室内をウロウロしてから、先生に会うために庭に出ました。
少しの時間でも、先生に会えたことが嬉しかったのか、先生が帰宅後、
「角度教えてもらえばよかった」
「みんなが帰った後に学校行こうかな」
「そしたら僕に勉強教えてくれるかな・・・」
「先生が良い人なのは分かった」
と嬉しそうに話していました。
・・・
長男が学習したがっている事を先生に話すと、
「17時までの予定のない日なら対応可能です」
と返事がきました。
5月20日の16時10分から16時45分までの間で学校で学習する事になりました。
先生の帰宅後、長男は嬉しそうに、
「あの先生大好き」
「先生に手紙書こうかな」
と言い、手紙?を書きました。
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181 友人の帰宅後荒れ狂う
181 友人の帰宅後荒れ狂う
2022年5月中旬
普段遊んでいる友人以外にも少しずつ、別の友人に会ってみようかな、と言うようになりました。
不登校中、頻繁に遊んでいる友人は、みんな穏やかで、強く物事を言わず、長男といつも仲良く平和に遊んでいる子たちでした。
この日遊びに来たのは、はっきり物事を言う子でした。
私も小さいころから知っている子です。
その子はスイッチのマインクラフトに詳しく、長男が上手にできないと、長男のことをしつこく馬鹿にしていました。
友人が、呆れたように長男に向かって、
「お前とやってもつまらん、そんなんも知らないの?」
と言い、長男が、
「だって分からないもん、知らないもん」
「僕、うまくできないから」
と言うと、
「そんなもん、動画で見ろよ」
「分からんやつとゲームやってもつまらん」
「あーつまらん、やることねーな」
と言っています。長男が、 自信なさげに
「じゃあ、スマブラしよ」
と提案すると、以前スマブラで長男に一度も勝てなかったその子は、
「嫌だね、やるなら、1人でやってろよ、俺はやりたくねー、帰ろっかな」
「あーつまんねー、つまらんし、やる事ない」
と言われ、長男はとても戸惑っていました。
普通の小学生の会話なのかもしれません。
それでも、長男はやっと、特定の友達以外に少しずつ会えるようになりだしている時期でした。
私は友人の発言に、長男が不安定にならないか、と冷や冷やしていました。
なぜなら、毎回この子の帰宅後、長男はいつも機嫌が悪くなるからです。
以前、その子が来ている時に、私は次男を連れて、主人が娘を連れて家を留守にしたことがありました。
帰宅すると、その友人が帰った後に、長男は支離滅裂な事を言い出し、泣きじゃくり、荒れ狂いました。
押さえつけることが困難なほどに暴れ、号泣し、力尽きた長男は眠ってしまいました。
その出来事の後、長男が、
「あの子と遊ぶと、疲れてしまうから、しばらく遊ばない」
と言いました。
この日は、約束をしていなかったのですが、気が付いたらリビングに上がってきており、もう断ることができないようでした。
・・・
この友人と遊ぶと長男は必ず、
「僕は馬鹿だから」
と下を向きました。
いつも遊んでいる、幼馴染や親友と遊ぶと、とても楽しそうでした。
顔つきが全然違います。
穏やかな気持ちになるのか、仲良しの友人が帰宅すると、
「僕、学校行こうかな」
と言いました。
・・・
今少しずつ前を向こうとしている長男に、あまり刺激的な発言は困るな、と思い、私と友人関係であるその子のママに、
「まだ、情緒が不安定で、遊ぶ元気がない日も多いので、遊べる時はこちらから連絡するね、その時はよろしくね」
とやんわり、家に来るのをやめてもらうように、伝えました。
180 長男が少しずつ人と関わるようになる
180 長男が少しずつ人と関わるようになる
GW、家族でキャンプに行った帰り道、長男は、
「僕、明日から、毎日みんながやってる宿題しようかな」
「朝も同じ時間に起きて、みんながやってる勉強をしようかな」
と言いだし、プリントを学校からもらってきてほしいと頼まれました。
その事を担任に伝え、GW明けから長男は学習プリントをするようになりました。
・・・
2022/5/15
長男が久々に九九をやっていました。
不登校前に辞めてしまいましたが、長男は、1年生の冬からそろばんを習っており、九九が得意でした。
その日は、久々だからか九九をうまく言えないようでした。
長男はその事にショックをうけており、
「僕はやっぱり馬鹿なんだ」
と言っていました。
・・・
長男はそろばんの先生が大好きでした。
50代後半の思いやりのある女性のベテラン先生です。
良くない行動をはっきり注意し、はきはき話し、厳しさはあるけれど愛情深い、そんな先生でした。
長男はもともと優しいだけの先生が苦手なのか、優しいだけで、はっきり教えない先生の曜日はそろばんに行きたがりませんでした。
はっきり道を示してくれる、そんな指導者を好みました。
人に会えなかった長男が、九九をする2日前、
「そろばんの先生に会いたい」
と言いだし、会いに行きました。
・・・
2022年5月16日
長男が私に、
「まずは1時間、慣れたら2時間って増やして学校行こっかな」
と言ってきました。私は、
「学校行きたいんだね、自分のペースで少しずつ行ってみる?先生と話してみようか」
と提案すると、
「うん」
とうなずきました。
私はその事を担任の先生に伝えました。
担任の先生は、
「5月18日に地域訪問があるので、その際に、長男の調子がよければ顔を見にいきます」
と言って下さいました。
・・・
4年の担任がこの先生と分かった当初長男は、
「あの先生はうるさい」
と嫌がっていたのに、心が安定してくると、そんな否定的なことを言わなくなりました。
長男に、
「先生に会ってみる?家に来てくれるみたいだよ」
と確認すると、迷わずに、
「うん」
と返答が来ました。
・・・
GW明けから、長男は担任の先生に1日2枚プリントを提出していました。
学校に行っている次男が運び係をしてくれていました。
通いのファイルには長男の好きなキャラクターをプリントしてくれてあり、長男は、
「先生優しいね、僕の好きなキャラの入れ物にしてくれてるね」
と嬉しそうでした。
179 2022年5月 家庭の様子
179 両親の様子
2022年5月10日
主人が、ぼそっと
「子育てが大変なのは分かるけど、なんでここまで我慢ばっかりなんだろう・・・」
「何かね・・・むなしくなるよね・・・」
と言っていました。
・・・
仕事も忙しく、長男は不登校で昼夜逆転、ゲーム漬け、次男も無気力でゲームしかせず反抗的。
次男はこの時、子供らしさを一切失っており、プールに行く、外で遊ぶ、外食することですらゲームが出来なくなると叫び散らして嫌がりました。
外では一切遊ばなくなり、一切笑いませんでした。
そんな子供たちを見て、主人も疲れているようにみえました。
私はそんな環境に慣れてきていましたが、幸せな家庭ではありませんでした。
娘だけは、天真爛漫で子供らしく過ごしてくれていました。
主人は会社から帰ってくると、必ず、1時間ほど長男とゲームをしてくれていました。
長男は主人が帰ってくることを心待ちにしており、帰ってくるとすぐに、
「お父さん、ゲームしよ!」
と言いました。
私も何度も誘われ、何度もゲームの相手をするのですが、
「えー・・・」
と嫌そうな態度をしてしまったり、長男が嬉しい気持ちになるような遊び方をしてあげられませんでした。
家事や、3人の子どものお世話と、不安定な長男次男の感情に振り回される事に疲れ果てていました。
・・・
長男は家庭内の家族の会話に敏感に反応し、主人と次男が買い物に行こうとしていると、
「ぼくがいない方がいいんだ」
「ぼくは誘われない」
「ぼくは嫌いなんだ」
とすぐにいじけました。
主人は、長男を誘っても、長男が外出をする事を嫌がり、いつもついて来ないので、声をかけなかったのだと思います。
それでも、長男は主人が、あえて長男を誘わない、と捉えていました。
この時期の長男は、会話の一語一語全てに反応し、全てをマイナスにとらえ、勝手にいじけ、家族に文句を言っていました。
178 近所の子と少し遊ぶ
178 近所の子と少し遊ぶ
2022年5月初め
長男はずっと外には出られず、同じ学校の子達には会いたくない様子で引きこもりがちでしたが、
「外で遊びたい」
「近所の1つ年下の友人と遊びたい」
「お母さん、声をかけてみて」
と言い、その子が遊びに来ることになりました。
・・・
しばらくして、その友人が来ると、通学団の子数人が長男を見に来ました。
きっと、遊ぶ約束をした友人が近所の子供たちに、「長男と遊ぶ」と話したのだと思います。
集まってきた顔なじみの子供たちが、長男を遠くから見て、
「あ、いた」
「えーどこどこ」
「本当だ」
「あー久々に見るー」
「本当だいるいるー」
と長男に話しかけるでもなく、それでいて長男に聞こえるほどの大きな声で、物珍しいものを見学するかのように、入れ替わり立ち代わり、長男を見に来ました。
長男は、しばらくの間は遊ぼうとしていましたが、すぐに、顔色が変わり、家の中へ入ってしまいました。
長男を見に来た子供たちに悪気はなく、ただ正直に思ったことを口に出しているだけなのですが、母親の私は、
「あー、もう黙って」
「何も言わないで、お願いだから!」
そんな気持ちが止まりませんでした。
・・・
家に入ると長男は泣いたり、荒れたりはしていませんでしたが単調に、
「やっぱり、遊ばない」
「つまらない」
と言い、布団に入り、いつものように動画を見始めました。
以前は庭に出る事も出来ず、同学年の子がいると走って逃げ、自分自身の存在を隠していた子が外で友人と遊びたいと思えたことは嬉しい出来事でした。
177 GW明け、次男の様子
177 GW明け、次男の様子
2022年5月GW明け
連休明けは不登校になる子が多いと聞いていたので、次男はどうなるかな?と心配していました。
この頃の次男はゲームの時以外、ずっと無気力で無表情でした。
注意をすれば、暴言が返ってくる。
こちらの要求は一切聞かない。
お風呂に呼んでも、返事もせず、30分経っても来ない。
待ちくたびれて、諦めてお風呂から上がると、なぜか来て、お風呂の扉をバンバン叩きながら地団太を踏んで、
「出るな!」
「一人で入れるわけないだろ!」
「そんな事も分からんのか!」
と、泣きながら癇癪を起しました。
毎日、そうでした。
・・・
GW明けに、次男の担任の先生との面談がありました。
入学から1か月ほど経ちますが、立ち歩きは相変わらずのようです。
担任の先生は、
「自分の目の届く場所にいれば、見捨てている感じにならないよう、次男さんに気配りしながらも、『好きにしとけよー』『俺は忙しいから、やる事やっとけよー』と接しています」
「毎日嫌がらずに学校に来れているので、花丸だと思います」
と言っていました。
・・・
次男は入学から1か月経っても、連絡帳は一度も書いて来ず、宿題も一度も提出していませんでした。
私はその事を次男に指摘しておらず、宿題に関しても、
「今は学校に毎日行くだけで良いので、提出するよう強く指導しないでほしい」
と先生にお願いしていました。
・・・
1か月経っても、次男は入学時と変わらず誰とも会話をしていないようでした。
「学校に行きたくない」とは言いません。
担任の先生に、
「支度や、教室移動は一番最後で、とても行動が遅いです」
「間に合わないので『先生が入れておくからね』と僕が全てランドセルに詰め込んでいます」
「通学団は並ぶようになりました」
と連絡を受けました。
・・・
先生から、立ち歩きの時に廊下で寝っ転がっていると聞いたので、次男に理由を聞くと、
「ひんやりして気持ちいい」
「椅子に座っている時のおしりの温かい感触が嫌だ」
と彼なりの理由がありました。
・・・
担任の先生は、次男の立ち歩きや宿題未提出などに対しては特に何も言いませんでしたが、今のまま立ち歩きが続くと授業を聞いていない事で、学習についていけなくなるのではないか、と心配していました。
・・・
問題行動はありますが、この日次男は、入学後初めて黒板の字をノートに写したそうです。
私はその話を聞き、次男は他の子供たちよりもゆっくりなペースで、少しずつ環境に適応している!と思いました。
・・・
次男とお風呂に入った時に、
「今日も歩いちゃったの?」
と聞くと、堂々と、
「当たり前だろ」
「座ってる訳がない」
「座っている意味がない」
と言っていました。
176 GW明け、不安定な長男の様子
176 GW明け、不安定な長男の様子
2022年5月9日
長男がまた支離滅裂な事を言い始めました。
「お母さんが僕を無視した」
「僕はお母さんに嫌われているんだ」
そんなことを突然言い出し怒っています。
私が、
「え?何の話?」
と聞くと、長男は、
「今僕が話しかけたのに返事をしなった」
と言います。
普通の言い方ではありません。
捲し立てるように、こちらの気分を最大限に逆なでする言い方で私を責めてきます。
長男はリビングにいる間、ずっと独り言のように何かを呟いたり、弟と話したりしながらゲームをしています。
どうやら、その合間に私に話しかけていたようでした。
私は長男が絶え間なく話し続けているのが常なため、話しかけられている事に気が付いていませんでした。
私が、
「独り言だと思ってた、無視なんてしてないよ」
と不思議そうに言うと、長男は、
「ほら、そうやって怒る!」
と突っかかってきます。
私は心の中で、
「はーーー、何?いっつも独り言言ってるから気が付けない!どの言葉が私宛なのか全然わからない!」
と思っていました。
きっと、気分の悪そうな顔になってしまっていたのだと思います。
それを見ていた主人が、
「長男の心理状態はあなたの鏡だよね」
「今、あなたは明らかに長男の事が嫌そうな態度をとっているよね」
「それが、俺にも伝わってくるんだけど」
と言われました。
・・・
そうなのです。
4月の入学式前日、長男が感情を吐き出し、学校へ行きたい、友人と遊びたい、と前向きな発言をした日くらいから、私の中で、【任務完了】の指令が下ったかのように、長男に寄り添えなくなっていました。
疲れ果てていても、何とか感情的にならないようにと踏ん張っていましたが、糸が切れてしまったかのようにイライラしてしまうのです。
頑張ろう、頑張ろう、と思っていても、一度切れた寄り添うスイッチが中々入りませんでした。
一番の原因は長男の次男への態度です。
長男は機嫌が悪くなると次男に酷い言葉を浴びせるのです。
次男が今、とても頑張って学校生活を送っていることを知っている私は、長男が次男を馬鹿にしたり、酷い言葉を浴びせると、不快な気持ちを抑えられませんでした。
次男は頑張ってるのに、お前がとやかく言うなよ!
家ではノンストレスで過ごさせたいのに!邪魔しないでよ!
そんな気分になってしまうのです。
そして、そんな気持ちが顔や態度に出て、長男が私に突っかかってくる、という負のループでした。
姉に相談すると、私は真面目過ぎるから、話半分で聞いていればよいのでは?とアドバイスされましたが、長男は人の気持ちを察する能力が高く、話を半分で聞いていると、
「ほら聞いてない」
「ほら、やっぱり無視してる」
「ちゃんと聞かないんだ!」
「酷いよね」
と捲し立てる
「僕の話を聞いてない!」
と言い、声を上げてわんわんと号泣する・・・
悲しいとしくしく泣いて訴える、と言うよりは攻撃的に反発し、相手を責めながら訴えてくるため、平常心で接することは、私には困難でした。
何度も何度も、長男に優しく接しよう、と頑張るのですが、その頃の私はどうしてもそれをする事ができませんでした。
毎日毎日繰り返される、長男、次男からの暴言と無理難題、毎食作り直させられる食事。
長男と次男は食の好みが真逆で、娘はアレルギーがある為、毎食3人分、別メニューで好きなものを作り、作れば文句を言われる、そんな毎日にとても疲れていました。
いつまで続くんだ、こんな生活・・・
この時期、長男は遊びに来る友人にも、
「僕にとって一番の親友だよ」
「僕のこと好き?」
とやたらと聞いたり、玄関をウロウロしながら帰宅前の友人に、
「また来てね」
「明日は来れる?」
「また、僕と遊んでね」
といつも不安そうでした。
175 次男の児童精神科受診
175 次男の児童精神科受診
2022年5月7日
次男の児童精神科受診日です。
家から30分ほどの場所にあり、予約に5か月待ちの、この辺りではまぁまぁ有名な個人病院を予約しました。
この時期、次男は何かをしたり、どこかへ行くためにゲームを中断する事をとても嫌がりました。
食事でも、お風呂でもです。
「うるせー」「なんだよ!」「関係ねーだろ」
などと反発し、一向に動きません。
この日も、そうなるであろう事を予想し、私は出発30分前から声をかけ続けました。
次男は無反応です。
ただただ私を完全に無視し、ゲームに夢中になっています。
だんだん病院の予約時間に間に合うためのタイムリミットが迫ってきました。
私はイライラし、言い方はどんどんキツくなり、
「ねー、早くしてって!」
「どれだけ待たせるの?」
「ねー、聞こえてる?」
「間に合わないって!」
「本当にゲームしてると何にもできないよね!」
と立て続けに言うと、次男は、
「あーーーー、もーーーー、うるせーーーなーーー」
と泣き出し、物に当たり始めました。
私は【行かない】という選択肢など持っていないのに、
「もう、いい!行くのやめよ」
「行かなくていいわ」
「疲れる」
と言うと、なぜか次男は、
「行くって言ってるだろうが!勝手に決めるな!」
と泣いて、扉という扉を「バン!バン!」と全て乱暴に開け閉めし、文句を叫びながら車に乗り込みました。
もう気分は最悪です。
今から児精神科で精神状態を見てもらうのに、絶対穏やかに行きたかったのに、あー、もう最悪。
車の中では、次男は後部座席に寝っ転がり、意地でもシートベルトを締めず、永遠に文句を叫び続けています。
私も完全に頭に血が上っており、
「あーーーー、もーーーーうるさいなーーーー、お母さんだって、病院になんて行きたくないわ!病院に行かなくていいならどんなにいいかって思ってるわ!」
と余計な事を言ってしまう。
あーーーー、もーーーー、到着前から嫌すぎる。
病院に着くと、とても感じの良い看護婦さんが次男についての問診をしてくれました。
次男が横にいるので、困りごとを次男に聞かせてはいけないと思い、全ての事を話せなかった事を覚えています。
主治医の先生は40代前半であろう、飾りっ気のない髪の短い女性でした。
診察室に入ると、次男は、目につく扉という扉に近づき、覗いたり、扉を開けようとしたりしました。
その後、私の横に用意された次男用の椅子には座らず、診察室にある、診察用のベッドの下に潜り込み、仰向けで寝っ転がり、地面を掃除するかのように寝っ転がったまま左右の足の裏で交互に地面を蹴って体を動かし移動し続けました。
その姿を、主治医の先生は、「あー、なるほどね」と言わんばかりに『うんうん』と頷きながら、見ていました。
その後、次男は臨床心理士のいる部屋に移動しました。
次男がいなくなると、主治医の先生が私に向かって、
「発達検査をした方が良いと思いますが、まぁ検査するまでもありませんよね」
「自閉、ADHDは絶対持ってますね」
「体幹も弱いんじゃないかな、その発達障害も持っているね」
「だから、座れないんでしょ」
「姿勢保持ができないんですよ、要するに」
「薬を飲んだ方が良いですよ」
「薬で落ち着かせ、できる事を増やしましょう」
「本人が楽になるし、副作用、だるさも全くありませんよ」
「個性がかなり、強いと思いますよ」
「息子さん今、支援クラス?」
私は、長男の事も話しており、その影響で次男が落ち着かないのではないのか?と次男の今までの発育環境を先生に話しましたが、先生は次男を間違いなく発達障害児、と診断しました。
私は先生からの問いかけに対し、
「支援クラスではありません」
「薬は本当にだるくならないのですか?」
「いつまで飲み続けるんですか?」
「一生ですか?」
「環境に慣れるまでに時間がかかる時がありますが、慣れると割と何でもできるのですが・・・」
「それでも発達障害児なのですか?」
と、薬、診断に対して抵抗感をみせると、先生は、
「逆に、薬を一生飲んでる子なんて、見たことない、息子さん酷いですよね、飲ませてあげて、楽にしてあげたら落ち着いて、できる事が増えますよ」
「本人も楽なんじゃないの?」
「発達検査も受けれるかなぁ?今日の様子見てると、難しそうだよね」
と言われました。
・・・
先生の話を聞きながら、長男の事、先ほどの次男の落ち着かない態度、先生から醸し出される『検査するまでもないよね、間違いなく健常児ではありませんよ』という事を半笑いに伝えてくる雰囲気、私が無言になり、静かに涙を流すと、先生は、
「お母さん、相当苦労してきていますよね」
「薬を飲ませて、お母さんも息子さんも楽になっていいんじゃない?」
と言われました。
心のどこかで、「この子は環境に慣れれば大丈夫ですよ」 と、言われることを期待していた私は、『あー、長男も次男も発達障害児なんだ』しかも次男に関しては、先生は疑う余地なし、という言い方だった。
病院が言うのだから、そうなんだろうな。
私はこれから、どうこの子たちを育てていけばいいのかな・・・
と、ただただ途方に暮れていました。
174 4月末(長男4年、次男1年)
174 4月末(長男4年、次男1年)
4月末、長男が、
「学校の先生ってオンラインでスマブラできないのかな?」
と言い出しました。
「うちに来てもらう事ができるか、相談してみる?」
と聞くと否定はせず、返事もしませんでした。
先生と何とか関わりたいと思っているのかな?と思い担任の先生に、
「長男がゲームで先生と関われないか、と言っています」
と話しましたが、
「それは出来ません」
と返答がきました。
・・・
この時期、長男はずっと弟には貸せなかったゲームの課金キャラを弟に貸せるようになっていました。
・・・
次男は少しずつ、集団下校などには慣れてきているように見えましたが、
・布団を頭まで被らないと怖くて寝れない
・部屋に1人で居る事が出来ない
・カーテンを見て「怖い、怖い」と指を指して泣く
・少しでも扉が開いていると「怖い、閉めて」と泣く
・「怖い」と言ってトイレに1人で行けず、お漏らしをしてしまう
など、やたらと空間を怖がるようになっていました。
173 長男の真面目すぎる思考
173 長男の真面目すぎる思考
【外食】
外食へ行きました。
娘がおにぎりを食べ残し、持って帰りたいと言いました。
長男は、
「え、持って帰っていいの?」
「ダメじゃない?」
「持ち帰っていいか、だめか、必ず確認してよ」
「ダメなら、絶対に持ち帰らないでよ」
「絶対だよ」
・・・
レジに行くと、
「お母さん、聞かないと!」
「ちゃんと聞いて!」
・・・
食べ放題のお店でも、残すと追加料金がかかると聞くと、小指の第一関節程度残っていても「ダメ、ダメ」と嫌がりました。
・・・
【買い物】
私が車で待っていて、娘と長男とで買い物に行ってもらいました。
長男が、
「僕、レタス買いたかったけど買えなかった」
と言うので、私が、
「何で?」
と聞くと、
「妹がキャベツを指先で触ったから、だからキャベツを買った」と言います。
私は、
「え、何で?」
「ちょっと触っただけなんて気にしなくていいのに」
とびっくりしていると、長男は、
「ダメにきまってるじゃん!妹が指先で触ったキャベツ買う人が可哀そう」
「僕、そうゆうの大嫌い、絶対ダメだよ」
と言いました。
私は「買ってきてくれてありがとう」と言い、それ以上何もいいませんでしたが、真面目を通り過ぎていないか?
世間一般的な人が、全く気にならないような事をこの子は凄く気にするのだろうな。
疲れそうだな。
172 私と長男との喧嘩
172 私と長男との喧嘩
2022年4月22日
この日長男は、また訳の分からない主張を始めました。
事の発端はカレーをよそう順番です。
その日は長男の友人が遊びに来ており、次男も交えみんなでゲームをしていました。
お腹が空いた次男がゲームを抜け出し、リビングにカレーを食べに来ました。
友人が帰り、長男がリビングに来ると、突然、
「おい!何で次男が先に食べているんだ」
と言い出しました。
「え?」
「次男、お腹空いたからゲーム中断して食べに来ていたんだよ」
と私が言うと、
「僕は、ゲーム中から食べるって言ってた」
「酷いよね!」
「あ、ある意味凄いよね」
「なにそれ、何で次男が先なんだよ」
とても嫌味な、とても不快な言い方で私を責め立てます。
真実は分かりませんが、【次男は、ゲームを中断してきたよ】 そう私が言った瞬間に長男に火がついたようでした。
私が長男を否定した、と受け取ったのかもしれません。
あーあ、まただ。
余計な事言わずに「ごめんごめん」とカレーをよそえばよかったな。
私はイライラしていましたが、これ以上余計な事は言わないように!と黙っていると、
「おい、言い返して来いよ、くそが!」
「おい!おい!おい!おい!」
「なんか言えよ、言い返せよ!」
「言い返してこいよ!」
絶え間なく捲し立ててきます。
あ・・・
もう・・・
なんか・・・
嫌・・・
私は何とか耐えて言い返しはしませんでした。
「学校へ行ったら先生も煽ってやるんだ」
と言い出したので、
「行かないでおきな」
「迷惑だから」
「・・・」
と言ってしまう・・・
・・・
先日まで、調子が良かったのに、ほんの些細なきっかけですぐにおかしくなる。
あー、むかつく!
優しくしなければ、大人な対応をしなければ、分かってはいても、感情が邪魔し、この子はなんでこんなに偉そうなんだ!と思ってしまう。
きっと私の表情はそれを読み取れるほどに不機嫌になってしまっているのです。
何かをきっかけに、すぐに行き渋りの時のように、嫌な感じでこちらに突っかかってくる。
この感じ、一生野放しでいいの?
好きな時に寝て、起きて、食べて、ゲームしてるだけ、全然自己管理ができない。
生活リズムも整わない。
これほどマイペースで、自分勝手で、この先この子はどうやって生きていくの?
もう、知らない!
私は私のできる事はやってる!
これ以上は出来ない!
訳の分からない事を言い、責め立ててくる長男にむかつき、長男の感情に振り回され、同じ土俵でイライラいしている自分に失望するのです。
私は疲れ果てていました。
171 次男と担任の先生との関係
171 次男と担任の先生との関係
入学してから2週間ほど経ちました。
次男の担任の先生は、30代半ばのサッカーの上手い男の先生です。
私は次男の担任の先生に、
「立ち歩き以外、次男は学校でどんな様子ですか?」
と尋ねると、先生が、
「誰とも話しません、ずっと、多分まだ同学年の子とは誰とも話していないと思います」
「放課も1人で席に座っているか、ふらふらその辺を歩いています」
「話をするわけではないのですが、僕が教員用の机に座っていると、近くに寄ってくることもあります」
と言われました。
そっか・・・
「僕とは少し話をするようになりました」
「授業中、黒板前に立ち、僕の服をつかんで離さない事もあります」
「給食は、食事後、食器を片付けません」
「僕の方を見て『にこ』っと笑うので、僕が片付けています」
「信頼関係を作ろうとしてるのかな、と思っているので、『片付けなさい』と、頭ごなしに注意したりはしていません」
「成長は人それぞれです、少しずつ次男さんができる事が増えるよう支援していきます」
と言っていました。
次男は立ち歩きが多く、支援員さんの補助が入ることが多いので、今座っている真ん中の席から、廊下側の一番後ろに席替えをさせてもらいます。と先生は私に伝えました。
・・・
授業中に教卓へ行き、先生の服を掴んでいる事は、授業妨害にならないかな?
食器の片づけをしないのは、忙しい先生の負担になっているはず。
自分のことは自分でするように、伝えなくちゃいけないのかな?
必死に学校に行っているあの子に、【今】それ伝えていいのかな?
私には分からない・・・
・・・
私は先生に、
「授業妨害をして周りの邪魔をしたり、先生の迷惑になる行動がある場合、【今】はまだ叱るという指導はせず、私に教えてください」
「私から本人に伝えます」
と先生にお願いしました。
・・・
私はそんな、次男の学校でのイレギュラーな行動を知り、こんな事を心配していました。
・次男、友達に話しかけられても、よっぽど慣れてる子としか話さないからな・・・
・自分から話しかけるなんて絶対しないだろうな・・・
・寂しがりだから、先生にくっついていくのかな?
・愛情不足の子は先生に必要以上にベタベタしがち、と聞いたことがあるけれど、次男愛情不足なのかな?
170 我が家に見えた少しの光
170 我が家に見えた少しの光
2022/4/14
毎日次男の登校に付き添い教室まで同行していましたが、今日は下駄箱で「もういい」とすたすた歩いていきました。
コロナ対策のため、健康チェックカードを下駄箱前で先生に渡すのですが、それはせず、帽子を目深くかぶり、下を向いたまま先生の横を小股で素早く素通りしていきました。
先生の「次男さんおはよう!」の声にも全く反応しません。
行き道は、次男を少しでも楽しい気持ちにさせようと、私が一方的に次男の好きなゲームの話をしていました。
次男は何も言わず、私の話を聞きながら少しだけ微笑んでいました。
この日、下駄箱で別れると、次男は姿が見えなくなるまで一度も振り返りませんでした。
同じ日、下校時の次男の姿を見ると、周りの子たちがワイワイはしゃぎながら帰ってくる中、ポツンと1人だけ輪には入っていないけれど、並んで帰ってきました。
入学式から、1週間しかたっていないので、割と早く環境に慣れてきたのかな?嬉しいな、という印象でした。
・・・
長男は、「学校行きたい!」など色々言ったのは新学期始まって数日でしたが、顔つきが明るくなり、元気になってきていました。
169 長男が学校に行きたいと言い出す
169 長男が学校に行きたいと言い出す
2022/4/17(日)
家族でプールに行きました。 プールへの道のり、車の中で突然長男が、
「僕、学校行ってもいいよ」
・・・
「でも、やっぱり、話し合いさせられるから嫌」
「やっぱり行かない」
と言いました。
・・・
遠くのプールに行きましたが、以前のような元気はなく、同学年の子がいると、少し体を隠すように小さくなり、すぐに帰りたがりました。
・・・
プールの帰りに外食をすると、食事をしながら、長男が、
「やっぱり、行こうかな、学校」
と、呟きました。
・・・
他にも、
「お母さん、ゲーム時間は2時間に制限したい、時間になったら教えてほしい」
「朝は9時に起こしてほしい」
「できるか分からないけど、少しずつやってみたい」
と私に言いました。
親が、
「ゲームの時間を気にしているだけで、素晴らしいよね」
と伝えると、長男は嬉しそうに、
「うん、ありがとう」
とニコリと笑いました。
長男が自分自身で、何とかしようと頑張っているように見え、
「お母さんとお父さんは、長男が決めた事を全力で応援するね」
と伝え続けました。
私はこの頃、長男の前向きな言動から、何か少し光が見えてきている、きっとこの子は大丈夫と心が少し軽くなり始めていました。
168 生まれて初めて、長男が次男を認めた日
168 生まれて初めて、長男が次男を認めた日
2022年4月10日
長男が半年ぶりに公園に行きたいと言い出し、幼馴染を誘い公園へ行きました。太陽の下、元気な長男の姿を見るのは半年ぶりでした。
・・・
次男は学校の時は無表情ですが、兄と【妖怪ウォッチ】のゲームをしている時はとても元気でした。
ゲームの時だけ、次男は生き生きとしていて、それ以外の時は一気に無感情になる、そんなふうでした。
・・・
2022年4月15日
少しずつ元気になっている様子の長男が、次男に、
「弟、かわいー!弟は心の友」
と言い出しました。
次男と【妖怪ウォッチ】のゲームをしながら、長男が、
「僕、弟、好きだよ」
「結構好き、大好き、弟といると楽しいし」
弟に向かって、
「トランプやろ、スピードで勝負しよ!」
と誘っています。
え!今何て言った?と耳を疑いました。
うわーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー、信じられない!
遂に長男が次男を認め始めた!
長男に、何が起こっているの?
我が家ではありえない会話なのです。
いつも次男を馬鹿にし、絶対に認めなかった長男から、次男を肯定する言葉を聞いた事は今まで一度もありませんでした。
私が長男に、
「弟に優しくしてくれてありがとう」
と言うと、長男は、
「そんな事ないよ、 弟が僕に優しくしてくれるんだよ」
と言いました。
学校の話題を出しても荒れる事が少なくなった長男に、次男が通学団で帰ってくる姿の動画を見せると、
「弟、緊張してるね、顔見れば分かる、頑張ってるね」
と言いました。
・・・
長男は私にも、
「お母さん、プール行きたい!」
「みんなで旅行もしたい」
そんな楽しい会話を急に沢山するようになり、私は、長男の心はきっと凄く元気になってきているんだ!と、とても嬉しい気持ちになった事を覚えています。
167 次男の脱走
167 次男の脱走
次男の立ち歩きは相変わらずでした。
担任の先生は
「大体、いつも廊下でゴロゴロ寝そべっています」
「でも、誰にも迷惑をかけません、授業を妨害したり、友達にちょっかいを出したりはせず、ただただふらふらしています」
「全く手はかかりません、僕も特に何も言わず、自由にさせています」
と言っていました。
・・・
当初私は、歩き回ると言っても、授業中に何度か離席してしまう程度だと勝手に思っていました。
ある時先生に、
「次男はどれくらい離席していますか?」
と尋ねると、先生は、
「まぁ、15分・・・」
と答えました。 私が、
「そうなんですね、15分くらい離席しているのですね」
と長時間の離席ではない事に、私が少し安心した様子を見せると、先生は言いにくそうに、
「いえ・・・15分というのは、一日に席に座っていられる時間です」
「それ以外の時間は、全て立ち歩いています」
と言いました。
「え・・・」
「一日15分しか座らないのですか?」
という私の質問に先生は、
「15分座っていたら良いほうです」
と答えました。
うわぁ・・・
私が想像していたよりも、はるかに酷く立ち歩きをしている事が分かり、
あ・・・聞かなきゃ良かった・・・胃が痛い・・・
と予想していた以上の次男の行動に、親としてどう対応して良いのか分かりませんでした。
その頃、次男は毎日靴下に穴をあけて帰ってくるようになりました。
本当に毎日毎日靴下の、足の裏の親指の下あたりの膨らんだ部分に500円玉位の大きさの穴をあけて帰ってきます。
靴下も、普通では考えられない位真っ黒で、どうしたらこんな風になるの?と思い次男に、
「おいおい(笑)これ、ネットでしか買えない高い靴下なんだけど!毎日破れてるよね!なんで?さすがに悲しいんだけど!」
と冗談交じりに聞いても、何も答えないので、先生に聞くと、
「まず、上履きを履きません、上履きを履かない上に、そのまま立ち歩きで校庭に出てしまいます」
「校庭に出る際、運動靴も履きません」
「先日はふらふらと正門から出て、家に帰ろうとしていました」
「さすがに危ないので支援員が止めました」
・・・
・・・
・・・
えー・・・
もう、無理じゃない?
次男は、学校、無理じゃん
えー・・・
そんな気分でした。
166 次男の授業中の立ち歩き
166 次男の授業中の立ち歩き
入学からしばらくして、娘のお迎え時間の関係で、次男の下校のお迎えに間に合わない事がありました。
次男はその事に不満を言わなかったので、その日から下校時のお迎えは行かないことになりました。
・・・
毎日毎日下校後、担任の先生から連絡があり、次男の立ち歩きや授業の不参加の現状を伝えられました。
「授業中はウロウロし廊下に寝そべっている」
「絵本の読み聞かせをしていると、教卓の近くまでふらふら来てしまう」
「視力検査、聴力検査も自分の順番にはやらず、周りの状況を観察し、一通り全員がやるのを見てから、最後に検査する」
担任の先生は、
「お母さんが入学前に言っていた通りの行動をしていますよ」
「周りの状況をまず観察しています」
「言えば言うほどやらない、というのも分かってきました」
「初めから話を聞いていたので、対応方法が分かり次男さんにペースを合わせのんびりやっています」
と言っていました。
・・・
入学前から学校に、押さえつける指導はしないよう、集団に合わせる為に無理をさせないように、とお願いをしていました。
先生は次男に対し「みんなと同じようにやりなさい!」と強くは指導していないようでした。
担任の先生は言うべきことは言わないといけないので、という言い方をしていましたが、 私は折れずに、
「先生のやり方に文句があるのではなく、次男には厳しい指導は逆効果になり、言えば言うほど何もしなくなるので、どうか理解して、タイミングを待ってあげて下さい」
とお願いし続けました。
締めるときは締めないと、と次男の担任の先生はよく言っていましたが次男に関しては、
「強くは指導しません」
と言ってくれました。
・・・
次男は授業中に立ち歩きが激しく常に離席していました。ある日、担任の先生が、
「いつも、離席は特に強く言っていませんが、今日は上履きを履かずに立ち歩きし、教卓前で転んだので、『転んだら危ないよ』『上履きを履きなさい』と強めに指導しました」
「その後、次男さんは涙を流し机の下に潜り、全く動けなくなってしまいました」
「上履きの指導をしてから帰るまで、一度も机の下から出ませんでしたが、帰宅後の様子はどうですか?」
「お母さんがおっしゃっていた、怒らないほうがスムーズにいく、の意味が何となく分かりました」
と連絡をもらいました。
その日は、私が娘を迎えに行き帰ってくると、次男は玄関でしくしくと泣いていました。
学校から事情は聞いていましたが特に何も言わず
「どうしたの?」
と聞くと
「何もない」
「学校怖い」
とだけ言い、次男はしばらくしくしく静かに泣いていました。
165 次男の朝の支度
165 次男の朝の支度
「学校に行かない」と声には出さないけれど、明らかに学校に行くと様子がおかしくなる次男を朝起こすことはとても苦痛でした。
朝7時に次男を起こすと、目を開け、まず一言目に「うるせー!」とか「だまれ!」とか酷い言葉を言われていたような気がします。
その言葉を聞こえないふりをして、次男をおんぶして寝室からリビングへ連れていきます。
この頃次男は、用意しておいた朝食には基本的に手を付けず、
「こんなもん食べられない」
「何か他のものがいい」
「これを作って、あれを作って」
と言いたい放題でした。
私はそんなわがままを聞くことにとても抵抗がありましたが、朝喧嘩をする事が嫌で、何も言わずに言うことを聞いていました。
食事をする時も、椅子の上に膝を立て、片肘をついて、見るからに不機嫌そうに食事をしています。
私が一言でも
「行儀悪いよ、足はおろしてよ」
と言うと
「じゃー、もう食べない」
と言ったり
「うるさい!」
と言って涙を流し机を手で叩き癇癪が始まります。
食事が終わると、次男はソファに寝転びます。
集合時間の10分前になっても、5分前になっても一向に準備はしません。
「間に合わないよー」
「着替えよー」
と言っても無反応です。
私が、
「通学団で行かずに、お母さんと2人で行くの?」
と聞くと、
「何でだ!通学団で行くに決まってるだろ!」
と泣き出す。
それでも一向に着替えようとしないので、私は大きな赤ちゃんを着替えさすかのように寝間着を全て脱がせ、服を着替えさせていました。
着替えさせられている間、次男はずっとテレビをボーっと見ています。
次男は幼稚園時代も特定の素材のシャツや締め付けのある服が苦手でした。
私が少しでも締め付け感のある服を選んで着替えさせると、
「嫌だ!嫌だ!気持ち悪い、無理、違うのがいい」
と暴れました。
私はなるべく締め付けのない緩い服を選び着替えさせていました。
一番困ったのは靴下です。
一年生になってから、次男は幼稚園時代には履けていた靴下の感触をとても嫌がるようになり、市販で売っている一般的な小学生向けの靴下を履かせると、
「気持ち悪い、気持ち悪い、何これ、きつい、嫌だ、うわーーーーー」
とのたうち回って泣くようになりました。
次男はソファに仰向けで寝っ転がりながら、靴下を履かせている私の顔を蹴るかのように、力いっぱい足をバタつかせて泣き出します。
特に足先の縫い目部分が嫌なようで、【ここ】が気持ち悪いと言いながら自分の足の指先をグーでパンチし続けることもありました。
幼稚園時代は何も言わずに履けていたのに、何で・・・
靴下以外にも服や靴など、身に着ける全ての物の素材、質感、着心地、履き心地に過剰に反応し、少しでも不快感があると激しく泣き、とても嫌がるようになりました。
私は縫い目がなく、締め付け感の少ない靴下をネットで探し、それを履かせると次男は、
「これなら履ける」
とその靴下だけは暴れずに履くようになりました。
やっと着替えが終わりました。
「学校へ行くよ」
とソファで寝転んでいる次男の腕を引っ張って起き上がらせ、手を引いて玄関に連れていきます。
玄関でただただ人形のように突っ立っている次男に、私がランドセルを背負わせ、帽子をかぶせ、足を持ち上げ靴を履かせ、無表情の次男と家を出て集合場所へ向かうのです。
164 体育の授業(次男)
164 体育の授業(次男)
担任の先生から、
「体育の時間、遊具説明をしていても話を聞かず、説明を待たずに好きに遊んでいます」
「列に並んだりはせず、自由でふらふらしています」
と言われました。
・・・
一番初めの体育の授業の時に、担任の先生から、
「体育の授業に参加しようとしていましたが、下のズボンしか着替えなかったので見学させました」
と連絡をもらいました。
私はどうすべきか少し考え、
「先生のおっしゃる事はごもっともです」
「ただ次男は【着替えないなら体育はやらせない】【体育をやりたいなら着替えなさい】で指導しても頑なにやらなくなるだけだと思います」
「着替えないうちの子が良くない事は重々承知していますが、幼稚園でも上履きを履く習慣を受け入れるまでにとても時間がかかり、受け入れてからは当たり前に履くようになりました」
「環境になれるまでは、体操服に着替えなくても、体育の授業をうけさせてもらえませんか?」
と伝えると、担任の先生は、
「汗をかいて風邪を引く可能性がありますし、衛生的ではありません」
と言いました、私は、
「風邪を引いても、汚くても、責任は全て我が家がとります」
と伝えると、担任の先生は、
「僕だけでは判断できませんので、上と相談します」
と言い、着替えなかった場合に、体育の授業を受ける事ができるかどうかは保留となりました。
先生に色々お願いする事は、過保護のようで、うるさい親に思われそうで、とても嫌でした。
163 4月前半、次男の下校時の様子
163 4月前半、次男の下校時の様子
次男は集団生活が困難な様子でした。
例えば下校時・・・
次男が、「授業後迎えに来てほしい」と言うので、私は毎日迎えに行きました。
次男は必ず、通学団が並んでいる集団の中にはおらず、下駄箱付近の日陰に1人でいました。
黄色い帽子を、前が見えないほどに目深くかぶり、ぺちゃんこ座りをしています。
遠くから見ても表情が一切ない事が分かります。
次男は自分のランドセルを背負っておらず、支援員さんがランドセルを持っていました。
周りでは元気いっぱいの新一年生たちが楽しそうに話しています。
・・・
通学団が出発すると、次男は列の最終尾につき、自分のペースで歩いてついていきます。
前の子と距離が離れ、副団長さんが声をかけてくれますが、声をかけられればかけられるほど、次男はランドセルの背負い紐をギューッと握り締め、小石を蹴りながら、頑なに自分の歩くペースを崩しませんでした。
私はその事については何も言わず、次男に、
「ねー、どうして下駄箱の所に座っているの?何でランドセルを背負ってないの?」
と聞くと、次男は、
「だって、太陽が眩しい、ランドセルは重たい」
と、前を向いたまま単調に答えました。
・・・
通学団の子たちが右側を歩いているのに、一人だけわざと左側を歩く、細い道で車も通るため私が、
「車来るから危ないよ、車の人にも迷惑だよ、団長さん困ってるよ」
「こっち歩こ、ねー、こっちを歩くんだよ!」
と強く言っても、体を固め動かないこともありました。
・・・
皆がスムーズにできる事が出来ない。
入学してから、全ての行動がそんなふうに困難でした。
162 新しい教頭先生
162 新しい教頭先生
教頭先生が変わりました。
子供が何も問題なく学校へ通っている時、教頭先生の存在を意識したことはありませんでしたが、我が家は今、長男、次男ともに問題を抱えており学校に相談に行く機会が何度かありました。
新しい教頭先生は、長期に渡り特別支援クラスを担当していた方で、長男の不登校に対して、
「学校は勉強しにくる所じゃない、遊びでいいんだよ、と長男君に伝えて下さい」
と言いながら、こちら側の気持ちを尊重し、対応を真剣に考えてくれているように見えました。
教頭先生は、
「学校なんて、来なくてもいいと思う、多様化だし」
「でも、長男さんが来たい気持ちが少しでもあるのなら、学校がやれる事は全てやります、何でも言って下さい」
「クールダウンで1人になりたいなら、1人になれる部屋を用意します」
「音楽の授業に出たくないなら、出なくていいです」
「宿題もやらなくていい」
「まずは、学校に来るだけでいいと思います」
「学校の事より、どんな子か知りたいな、会いたいな、何が好きなんだろ話してみたいな」
と私に話しかけてくれました。
「学校側はできる事は何もありません」と断言していた前年度の教頭先生とは比べ物にならない、そんな印象を受けました。
長男がとても嫌がっていた3年生の時の担任の先生は他校へ移動になったと聞き、 長男に、
「3年の時の担任の先生、もう学校変わったみたいだね」
と伝えると、長男は、
「あの先生にもう会わなくていいんだ」
「また、1つ学校に行ってもいい理由が増えたな、僕、行こうかな」
と言いました。
・・・
私はなぜか、長男が学校行きたいと言い出しても「嬉しい」という気持ちが湧きませんでした。
理由は、多分・・・
私はもともと極端な性格で【嫌】という感情が芽生えると、そこから急降下で、その全てが嫌になる。
その全てに対し、嫌が止まらなくなり、受け付けなくなる。
そんな性格は極端な思考を生みました。
当時私は、その感情を学校に持っていました。
フリースクールの【自由にさせると子供に自主性が生まれ、伸びる】という思考や、きのくに子供の村学園の【全て自分たちで決める】という教育方針を知る度に、公立小学校への不信感が生まれていきました。
全て決められた事で、みんな同じ事をする公立に通えば、型にはめられ、個性や感性が失われてしまう。
子供の個性を潰されてしまう、心が病んでしまう、と極端に思い込んでおり、私の気持ちが公立小学校を拒否し、恐怖症みたいになっていたように思います。
161 会えなかった友人に会う
会えなかった友人に会う
2022年4月頭
不登校になってから、病院にも行けていませんでしたが、長男は歯科矯正の歯医者にも自ら行きたいと言い出しました。
歯科医の先生は不登校が理由で矯正治療に通えていない事を知っており、「どうしたい?続けたい?一旦休憩しても大丈夫だよ」と長男に聞いたそうです。
長男は「もう、通えます」と答えたと言っていました。
・・・
スポ少も、3年生のクラスも同じ幼稚園時代の友人がいます。
不登校になってから、断っても断っても、何度も何度も「遊ぼう!」と誘いに来てくれていましたが、長男は絶対に会う事ができませんでした。
ある日、突然長男がその友人と遊びたいと言い出しました。
ママと私は友人なので、ママに連絡を取ると、すぐに遊びに来てくれました。
友人は、リビングのテレビでゲームをしている長男に向かい、
「よー!お前半年くらい会ってないのに、全然変わってねーなー」
「お、お前もついにゲーム始めたか!俺強いぞ!」
と言いながら家に入って来ました。
「お前、毎日何してんの?学校来いよー」
「俺んちだったら、学校休むと父さんにぶん殴られるよ!」
と、言っていましたが、長男は苦笑いをしながら友人の言葉を交わしているようでした。
その子と遊んだのは数時間だったと思います。
友人がゲームではなく「外で遊びたい」「かくれんぼしよ」と誘っていましたが、長男はあまり乗り気ではなく、少し体を動かすと、すぐにソファに座りゲームをしていました。
私の目には、長男はあまり元気がないものの、ガンガン話しかけ、ちょっかいを出してくる友人と楽しそうに遊んでいるように見えました。
友人が帰宅すると「楽しかったよ」と言うものの雰囲気は全然楽しそうではなく、元気がなく、部屋にこもり、しばらく出てきませんでした。
160 4年生の担任発表
160 4年生の担任発表
私の人生の中に【不登校】という言葉が入り込んでから7か月が経過しました。
2022年4月7日
在校生の担任発表がありました。
長男の新しい担任は3年生の時の主任先生でした。
行き渋りが始まった頃、何度も何度も放課を潰し長男と話し合いを重ね、不登校原因を問い詰め続けた先生です。
先生が何とかしようと頑張ってくれていた事は理解していますが、長男はその話し合いをとても嫌がっていました。
学校側には、復学した際の事を考え、不登校に理解のある先生を担任にしてもらいたい、と何度も頼んだのに。
長男の4年生の担任に不登校の知識があるとは到底思えず、
「ありえない」
そんな気持ちでした。
学校は沢山いる生徒の中で、長男が来ない事など何とも思っていないのだな。
今までの学校の対応を振り返っても学校側に期待できることは何もありませんでした。
それでも、なぜ、わざわざ長男を問い詰め、長男が拒否し続けた先生を担任につけるのか、私には理解ができませんでした。
当時、長男の家での発言から、私は長男が学校に行きたがっていると思っていました。
担任の先生が嫌なことが理由でまた1年間、4年生も行けないと予想し、みぞおち辺りに締め付けられるような不快感を感じた事を覚えています。
長男は、
「学校行こうかな」
「友達と遊びたいから行きたいな」
「でも担任が嫌だからやめておく」
そんな事を独り言のようにずっと言っていました。
私は、
「自分がどうしたいか、自分で決めたらいいよ」
と言うと、
「遊びたい」
「体を動かしたい」
「ゲームばかりしたくない、お母さんがゲームの時間を決めてほしい」
「学校に行きたい、でも担任が嫌だ」
「3年生の時の担任には会いたくもない」
「1年生の時の先生なら行きたい」
「音楽の時間は受けたくない、教室で1人で待っていたい」
「どの先生にも話しかけられたくない」
「『おはよう』と言われるのも嫌」
「『頑張ってるね』と言われるのはもっと嫌」
「話しかけられる事がとにかく嫌」
そんなマイナスな事をずっと言っています。
行き渋りだした頃、励まされたり話し合いをさせられた事がとても嫌だったと言っていました。
そんな事を言い続ける長男に私は、
「先生に話し合いは絶対しないようにお願いしてあるよ」
と伝えましたが、今度は、
「勉強がきっと分からない」
「きっと皆んな話してくれない」
「僕と話していても、きっとすぐに他の子と話すから僕は1人になる」
「きっと、独りぼっちなんだ、嫌だ、嫌だ、行きたくない」
と泣き出します。
「行きたいけど不安なら、先生に付き添ってもらおうか?」
と提案すると、
「先生とは話したくない」
と言う。
「4年生の担任の先生は本当に嫌い、嫌、声がでかい、うるさい、頑張れってうるさい」
と言い続けます。
そんな息子の気持ちが伝染し、私自身も担任の先生と不登校対策の話し合いをすることにも、学校へ行く事にも抵抗感が生まれ、しばらくの間、担任の先生に会うことができませんでした。
・・・
私は4年生の担任の先生に対し、
・熱血先生
・ビシッと規則正しく整列などをさせる
・生徒との距離感がつかめず、行こうか、頑張ってみようかと励ましてばかりいる
・生徒のタイミングに合わせ、程よく放っておく事ができない
・少し待てば子供が動き出す、というタイミングで、無駄に高いテンションで「さぁ行こう!」と背中を押す
そんなイメージを勝手に抱いていました。
・・・
長男は私が買い物へ行く事すら嫌がり、こんな事をよく言っていました。
「お母さん死なないで、お母さん死なないで、人は死んだらどこへ行くの?天国なんてきっとなくて、1人でその辺をウロウロして、凄く寂しいんだ、嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ」
そんなことを突然言い出し、泣き続ける事がよくありました。
長男はいつも不安定でした。
私はどんな言葉をかけることが正解なのか分からず、
「不安なんだね、お母さんは死なないよー、好きなだけこの家に居て、好きな時に学びたい事を学べる場所に行けばいいよー」
と明るく伝えるようにしていました。
159 学校が始まってから数週間の家での次男の様子
159 学校が始まってから数週間の家での次男の様子
次男は朝、私と学校で別れる際に、
「学校が終わったら迎えに来てね、絶対来てね、絶対だよ、約束だよ」
と何度もお願いしていました。
私は約束通り、毎日下校時間に正門へ次男をお迎えに行きました。
娘の幼稚園のお迎え時間とかぶっていたため、娘を通常保育よりも早めに引き取り、娘と一緒に次男をお迎えにいきました。
初日は幼稚園時代の癖が抜けないのか、ランドセルを背負って帰る、という事を知らないからか、私を見ると持っている荷物を全て投げ捨て、通学団の列から抜けて走り出しました。
私が、
「小学生は自分でお家までランドセルを持って帰るんだよ」
と教えると次の日からは自分で背負って帰るようになりました。
・・・
次男の先生は賛否両論ある先生でした。
「とても良い先生だよ」という人もいれば「怒鳴りつけて怒りまくるので子供が委縮する」という人もいました。
次男には長男から植え付けられた学校への恐怖のイメージがあります。
今の次男に委縮するような指導をされたら確実に不登校連鎖になるだろう。
私は、担任の先生に、長男の行き渋り時の発言を伝え、次男の学校への恐怖心を話しました。
その上で、過度な指導は避けてもらうようお願いしていました。
小学校へ通う次男は、集団に一切なじめず、体が固まり、学校では一言も声を発しませんでした。
私の眼にはとても健常児には見えませんでした。
5月7日に児童精神科の予約をしてありました。
診断名を出してもらい、過度な指導はしないことを徹底してもらおう。
診断名なしに、ただ「厳しくしないでほしい」という要求をする事には躊躇いがありました。
過保護のモンスターペアレンツと思われないか、と心配し、学校側に状況説明しやすいよう、診断書が欲しい、と思っていました。
最初の数週間、次男には帰宅後、次のような症状がありました。
・玄関でお漏らしをしてしまう
・帰ってからもずっとランドセルを背負って玄関でぼーっと座っている
・帰ってしばらくすると、玄関の土間部分を裸足で、うつろな目付きでうろうろと歩き回り、「どうしたの?」と話しかけても聞こえていないかのように反応がない
・姿が見えない、と次男を探すと、寝室の布団を頭からかぶり震えている
・腹痛
・無表情
・爪かみ
その他にも心配になるような出来事がいくつかありました。
そんな次男の様子を見ていた私は次男に、
「学校はここだけではなく、色々な学校が選べるので、苦しくなったら次男に合う学校を一緒に探そうね」
と言い続けていました。
次男は、私がそれを言うと嫌がりました。
私の問いかけへの返答はいつも、
「僕はこの学校に通いたいんだ」
「そんな事言わないで」
でした。