2023年10月の記事一覧
15 完全不登校までの42日間の事③
15 完全不登校までの42日間の事③
2021.9.12(休日)
この日は、家族で動物園へ行く事にしました。
長男は、歩くのが疲れると言い、動物園内を歩かずに、娘用のベビーカーにずっと乗っていました。
娘も長時間は歩かず、抱っこ抱っこと言うので、長男にベビーカーを貸してほしいと何度かお願いしましたが、なかなか貸してくれず、次男までベビーカーに乗りたいと言い出し、入り口から一向に中に入る事が出来ませんでした。
家族でいるとベビーカーに乗って自分で歩かない長男は、私と2人になると歩き、「お母さん、荷物持つよ」と言って私を助けてくれました。
・・・
別の日の夜、長男の事を気にかけている主人が長男と2人きりで話をしようと外食に誘いました。それを見ていた、いつもは母親にべったりな次男が、
「僕も行きたい!絶対行きたい!」
「なんで長男だけなんだ!なんで僕は行ってはダメなんだ!」
と駄々をこね始め、私が「お母さんと次男の好きな物食べに行こうよ」 と言っても、
「嫌だ!僕はお父さんと行きたい!何で僕は行ってはダメなのか教えて!」
と長男と出かける主人の車を裸足で追いかけていきました。
主人は私に「次男を上手く、説得してね」と言い出かけていきました。
そんな、長男ばかりを優先する、という事が頻繁に起こり、次男の情緒はどんどんと不安定になっていきました。
主人と長男は楽しそうな雰囲気で帰宅し、仲良くお風呂に入り、「さー、寝よう!」 となった10時頃、明日は学校なのに、長男が再びテレビを見始めました。
主人は長男に、「寝るよ!」と声をかけていましたが、長男はその言葉を無視しテレビに1点集中していました。
何度か主人が「寝るよ!」と声をかけていましたが、長男は、 言う事は聞きませんというオーラを出していました。
そんなやり取りを何度かしていると、長男が突然、「うるせーな、だまれ、鬱陶しい!!!!」
と主人に怒鳴りました。主人は、そんな長男を見て、
「食事に行った時と同じ子だと思えない・・・この子はどうなってるんだ・・・」
と悲しそうに呟いていました。
私は、私にとっては日常的な長男のその行動に、
あー、始まった、始まった。
なんて育てにくいの!
なんて扱いにくいの!
なんてわがままなの!
なんて面倒な子なの!
思っていました。
12時を過ぎると、主人が怒りだし、長男が見ていたテレビのカードを抜きどこかへ隠しました。
長男がどんな態度に出たかは覚えていませんが、私は、
・毎朝〈はながっぱ〉見るよ!と起こしているのに、明日朝テレビがつかなかったら絶対怒ってくる!
・番組が1秒でも始まった後に起こすと絶対怒る・・・
・テレビが観れなかったから学校に行かないって言い出す・・・
・えー、どうしよう、カード返してよ・・・
と、1人であたふたしていました。
・・・
この時期、夫婦仲は良くなかったので、主人に余計な事を言うと喧嘩になるな、主人に頼みごとをするのは嫌だな、と思っていて、私は主人に朝までにテレビのカードを返してよ、とは言えませんでした。
14 完全不登校までの42日間の事②
14 完全不登校までの42日間の事②
2021年9月10日
この日の朝、
出発前、長男がソファで寝転んで朝食を食べていたので私は、
「机に座って食べてね」
と声を掛けると、長男は、
「それなら食べない」
と言い、朝食を食ませんでした。
長男は通学団の集合時刻の10分前に、私にも聞えそうな深いため息を「ふー、、、」っとつき、呼吸を整え、長男の周りを黒い雲が覆っているような雰囲気を漂わせ、集合場所に向かうために家を出ました。
とにかく学校へ行ってほしいと思っていた私は、そんな長男の様子を気にかけながらも「あ、何とか行ったな」と、一安心していました。
今日は行けたな・・・と安心していると、家を出る時間が遅かったからか、集合場所には誰もおらず、長男は家に帰ってきてしまいました。
私は長男に、付いて行くから、一緒に行こうかと提案し、長男は私と一緒に学校へ向かう事になりました。出発前に長男はお腹に手を当てて、前かがみになり、
「お腹痛いからトイレに行ってくる」
としばらくの間トイレにこもってしまいました。
当時娘はまだ2歳で、長男が学校へ向かう時間はまだ眠っていました。
「長男の学校に付いていかなくちゃ!」
という気持ちと、
「まだ小さい娘が起きてしまったらどうしよう!1人で大丈夫かな、、、」
と冷や冷やする思いで私は長男の学校まで付いて行っていました。
この頃の長男は学校から帰ると様子がおかしくなり、毎日毎日、
・クラスの女子がウザい
・今日は描いている落書きを勝手に消された
・コロナなんだし、ソーシャルディスタンスだよ!と言って離れようとしても『関係無い!』と言って近寄ってくるのが嫌だ!
・僕は自分のペースで教科書を閉じたいのに、授業が終わる瞬間に勝手に教科書を閉じてくる
・頑張って作った練り消しを勝手にゴミ箱に捨てられた
・前の人の座高が高くて、僕は全然黒板が見えない
・今日は体操服を見つけられなくて、体育に参加できなかった
・・・
と学校の文句ばかりを取り上げて言っていました。
長男はその日学校から帰って来ると、
・あんな場所に行くのは馬鹿みたい
・くそつまらん
・学校に行っても意味がない
・僕はもうに行きたくない
と険しい表情をして、私を見ずに呟いていました。
私は長男の異変に気付き始めていたので、否定的な発言を注意はせずに、
「嫌だったんだ、疲れただろうね」
と言い聞き流す事にしていました。
・・・
行き渋り当初、主人は、
「そんなに心配しなくていいんじゃない」
「夏休み明けだし時期の事なんじゃないの?」
と言っていましたが、日々悪化していく長男の様子を見て、
「なんなん?これ、長男どうしたの?」
と混乱し始めていました。
・・・
私は学校の先生から面倒臭い親、厄介な親、と思われる事が嫌で、学校に個人的なお願いごとをする事に抵抗がありましたが、勇気を出し担任の先生に電話をし、
長男が横の席の女の子のお節介を酷く嫌がっている事を伝え、先生からその子にあまり強くお節介しないよう、やんわりと指導してもらえないか?と、お願いをしました。
お願いはしましたが、状況が変わる事はなく、長男の【女】に対しての嫌悪感は日に日に激しくなっていきました。長男は毎日のように、
・女がまじでうざい
・この世に女なんていなくなればいいんだ
・クラスに女が居なければ僕は学校に行けるのに
・女がいるせいで学校の全部がつまらなくなる
・女は全員この世から消えろ
・女は皆わがまますぎる
・女が視界に入るのも僕は嫌なんだ
・音楽の先生(女性)が大嫌い
と、とにかく女の人が嫌だ!と言い続けました。
テレビで、くれよんしんちゃんのみさえが画面に映るだけで、
「この女はわがまますぎる、こんな女は死ねばいい」
と言い、女性でなくても、ドラえもんの、のび太君を見て、
「こいつバカ過ぎる、鬱陶しい、嫌い、ウザい」
と、目に映る全てを否定し始めました。
・・・
長男が学校を休む日が続き、長男の異変に気が付いてからは、私は長男の要望にできる限り応えていこう!叱らないようにしよう!と努力しているつもりでした。
学校に行かない長男を見て私は、
・何でもいいから学校には行ってほしいな、学校に行っていればきっと何とかなる
・もし長男が明日も学校へ行かないと言いだしたらどうしよう・・・
・あの子に何をしたら、今の生活の何を取り除いたら、あの子は普通に学校に行ってくれるのだろう
・今学校に行かなくなって、このままずっと学校に行かなくなったらどうしよう
・女の子を嫌だっているから、中学は男子校のがいいかな?
・機嫌の悪い長男を明日の朝起こすの嫌だな、、、
と思っていました。
長男が生き渋る様になってから、私はこの先この子はどうなってしまうのだろう?と漠然とした不安を常に感じていたように思います。
13 次男の異変
13 次男の異変
2021.8月後半
長男の情緒が乱れることで、我が家は家庭内不和になっており、その影響からか次男がこの時期から、無意味に叫んだり、突然物を投げつけたりするようになっていました。
幼稚園の帰り道、私が、
「今日は幼稚園どうだった?」
と、聞くと、次男はとても無気力で、とげとげしい雰囲気で、
「全然つまらない、だから僕は1日中座っていただけ」
と、答える日が増えていきました。
私は次男が毎日長男に酷い事を言われ、殴られている現状を幼稚園の先生に伝え、次男の様子を気にかけてもらうようお願いしていました。
次男はもともと、人と積極的に関わる事が得意ではなく、 長期連休明けに幼稚園に行くと、仲の良い友人といつものように遊べるようになるまでに、1か月程掛かるような子どもでした。
そんな次男はいつもいつも長男の顔色を伺い、
「ぼくが、これをやってもいいのかな?長男に何か言われないかな?」
と怯え、何をする時も、長男に何か傷付く言葉を言われないか、と考えながら行動しているようでした。
次男は長男がいなければ、何にも怯えず伸び伸びとすごしているのですが、楽しく遊んでいる空間に長男が加わると、次男の顔つきは一気に変わり「長男に何かを言われるのは嫌だから」と次男は無気力を装うようになりました。
ある日次男が早起きをして漫画を読んでいると、長男が起きてきて、力ずくで次男の読んでいる漫画を奪い取りました。
漫画を奪われ次男は大泣きしていましたが、長男は一向に漫画を貸そうとはしませんでした。
そんな、次男の心が不健康になるような出来事が毎日毎日続いており、2人の漫画争いに疲れていた私は、次男に長男と同じ漫画を買い与える事にしました。すると長男が、
「次男にだけ買うなんてずるい!」
と文句を言い始めました、私が、次男も読みたいのに長男が漫画を貸さないから買うしかないんだよ、と説得しても、
「ずるい!ずるい!僕にも買ってよ!!」
と長男は言い続けました。私はそんな長男の事を、またいつものわがままだな、と不快に思っていました。
結局私は長男を説得する気力もなく、とにかく喧嘩をしないでくれ!黙っていてくれ!と言う気持ちで、同じ漫画の同じ巻を10冊づつ、2人に買い与えました。
2人共が漫画を手に入れ、平和になるかとほっとしていると、今度は寝かしつけの時に読んでほしいと言われるようになりました。
私が長男に読めば、次男が僕にも読んでと言います。
長男に読んだ後に次男に読めば、長男が僕にももう一回読んでと言う。
本当に読んでほしいというよりは、自分の方がお母さんに沢山本を読んでもらった状態で眠りにつきたい、という兄弟間のくだらない争いをしているように私には見えました。
私が次男に漫画を読んでいると、長男はわざと不自然な程に大きな声で笑い、邪魔をし、自分の存在をアピールしているように見えました。私は内心、
「あー、毎日毎日面倒臭い!何回も読むのは疲れるから、2人同時に聞いてよ!」
と思っていましたが、その提案をしても長男は、次男と一緒に本を見たくないという理由で受け入れてはくれませんでした。
それなら、寝る前に2人に2話ずつ読む!と約束を決めると、長男は、
「次男の方が1話のページ数が長かったから、僕だけにもう1話読んで」
と言い、それを聞いた次男が兄に読むなら僕にももう一回読んでほしいと言うのです。
お互いが自分の主張が通った状態で争いを終了したいため、その喧嘩に折り合いが付く事はありませんでした。
毎日、毎日、毎日、毎日、繰り返される解決しようのないこの無意味な争い。
私は本当にうんざりしており、優しい言葉を掛ける心の余裕はありませんでした。
・・・
そんな日々の中、次男の様子がだんだんとおかしくなっていきました。
ある日、買い物から帰ると、普段温厚な主人が次男にきつく叱って(怒って)いました。
主人が次男をあまりにも叱りつけた為、長男が、
「お父さんやりすぎだよ!」
と叫ぶと主人は振り返り長男に向かって、
「お前が言うなよ!!!!!」
と、怒りをぶつけていました。主人の珍しいその態度に、私が、
「怒りすぎだって!」
と口をはさむと、主人は、私の方を見て、お前だっていつも怒っているくせに!と言いたげに私を見て、
「お前が言うな!」
「お前だけは言うな!」
と言い返してきました。
もう家庭内がぐちゃぐちゃで、誰も誰の事も思いやれておらず、仲間であるはずの家族全員が敵同士のようでした。
主人は、子育てに疲れ果て常に機嫌が悪い私に嫌気が差していただろうし、私も、仕事ばかりで現状を理解していない主人に苛立っていたのです。
・・・
家庭内不和が酷くなりだしたその頃から、次男は心身ともに不調になりました。
次男の頭には10円禿ができ、爪が全てなくなる程、爪を噛み、顔には覇気がなく無気力になっていきました。
今まで優しくしていた妹にも、不必要に意地悪をし、わざと妹を泣かせるようになりました。
家中のどこかで、誰かが争い合っている、そんな悲しい家族になっていったのです。
12 主人と長男
12 主人と長男
2021年6月~
この当時、仕事が忙しい主人は、子供が寝てから帰って来る事がほとんどでした。
主人は温厚で大らかな性格ですが、他人の世界に入り込んで来ない雰囲気の人でした。
その当時の主人は、夫婦間で話し合う、助け合うなどをせず、お互いに依存をせずに問題を自己解決しよう、と考えているようでした。
例えば・・・私の父親が海外に住んでいた時期があり、私は幼い子供たちと父を訪ねて1か月ほど海外に滞在した事がありました。
帰国後、その時の写真を主人に見せても、主人はその写真に興味を示さず、
「目の前に子供がいるから、別に写真は見なくてもいい」
と言ったりする事がありました。
私の主人に対して、共感力に乏しく、ドライな人と思っていました。
・・・
そんな主人に気を遣い、上手く頼みごとの出来ない私と、自分のペースを崩される事を嫌い、子供たちの事を聞いてこない主人。
私は主人に対して「助けてよ」「手伝ってよ」と言う気持ちを持ちながら、それを口に出すことが出来ず、嫌味の様に自分だけで家事、育児を抱え込む様になりました。
主人に当て付けて、「あなたは役にたたないよね!」と言わんばかりに忙しそうに動きまわり、全ての家事育児を自分1人でこなし、勝手にそれに苛立っていました。
平日は主人の仕事が忙しい事を理解していて、それ程イライラしないのですが、主人がお休みの土日になり、主人が家にいると「助けてくれるかも!」と期待してしまい、私の期待を裏切り、助けてくれない主人に不満を抱いている事が多かったです。
私はそんな不快感を態度に出しており、土日の家庭内の雰囲気は、張り詰めた空気な事が多かったと思います。
・・・
長男はお父さんが大好きな子どもで、主人も長男をとても可愛がってくれていました。
行き渋りが始まり、長男の情緒が激しく乱れ始めると、長男は父親に対しても暴言を吐くようになり、仲の良かった2人の関係も崩れ始めました。
主人は、長男に注意する際、次男を叩く長男に対して、
「そんな事もう止めようね」
「はいはい~ちゃん(長男)もうやめようね」
「どうしたの?」
と冷静に諭すように言う事もあれば、わがままな長男の態度に主人の気持ちも限界になってしまい、大人な対応が出来ずに、
「おい!いい加減にしろよ!」
と叱りつけてしまう事もありました。
時に主人は、私と長男が言い合いになっていても、見て見ぬふりな事もありました。
・・・
長男が次男をいじめて次男が泣き、主人が長男に謝るように諭しても、長男は、
「ざまーみろ!!!」
と言ったり、目にいっぱい涙をためて、それでも主人に負けないようにと、
「はいはいはいはい、すみませんねぇ!これでいい?」
「はい、謝りました!これでいいんでしょ!」
と吹っ掛けてくる事もありました。
主人に叱られたことが悔しくて、何とかして主人が不快になるような言葉を言いたい長男は、主人の方言を馬鹿にし、
「は?は?は?は?何ですか?なんですか?」
「何言っとるか分らんし、日本語話せよ!」
「この、くそじじい!」
と主人に向かっていきました。
長男は、昔から自分が否定され、注意される事に過度に反応し、話が通じず、注意をすれば暴れ出す子、と私は思っていました。
・・・
長男と他の家族との関係が悪化していたある日の夜中、寝室で寝ていると、突然リビングから、
「うぁぁぁぁぁぁーーーーーーー!」
「うぁあああああーーーーーーー」
「ひぇーーーーん」
と泣き叫ぶ声ような声が聞こえてきて、私と主人は飛び起きました。
リビングへ行くと、長男が1人暗闇の中で、声を振り絞り、唸るような、悲しくて、苦しくて、壊れそうな、そんなふうに泣いていました。
両親は驚き、
「どうしたの?」
と長男の背中をさすりましたが、長男はだただ肩を震わせ、唸るように泣いているだけでした。
記憶は曖昧なのですがしばらくすると、長男が私に、
「お母さんが次男の横で寝ていたから」
と言いました。
長男は、
「寂しい、寂しい、寂しい、寂しい、うゎーーーーーーーーー」
と、泣き崩れてしまいました。
そんな子供の訴えにも、全てがうんざりで疲れ果てていた私は、溜息をつき、長男に、
「次は何?」
「じゃー横で寝ればいいじゃん」
と、素っ気なく言ったような気がします。
その当時は、自分の中で目覚めている間の全ての時間を、子供達に使っているという感覚があり、私はそれにとても疲れていました。
長男が泣いていたのは夜中でしたが、主人が長男を散歩に連れ出してくれました。
散歩に出かけた2人は、出かけてから2時間ほど経った明け方の2時頃になると明るい表情で帰ってきました。
私は長男と主人が何を話してきたのかを聞こうとはしませんでしたが、帰ってきた主人は、少しため息をつきながら、私に、
「明日のサッカーは休ませてあげてね、朝は起こさずゆっくり寝かせてあげて」
「長男とは色々話はしたけど、まあ、、、」
「俺から見ても・・・貴方は長男の事を嫌っているように見えるよ」
と、私に言いました。
私は何も言い返さずに黙って主人の話を聞いていました。
・・・
主人の言葉の通り、その時期、私が長男を嫌いだったのか?
今、どれ程考えても思い出すことができません。
嫌いだった、という事も、心底愛していた、という事も本当に思い出せないのです。
そんな私の気持ちは、幼い長男にどう映っていたのだろう?と今は思います。
11 閉ざされた空間での出来事
11 閉ざされた空間での出来事
次男の幼児期、次男はよく長男に殴られていました。
そんな2人の姿を見て、周りは、
「男兄弟の喧嘩、激しいよね~」
「ハラ子ちゃん家は特別激しいよね~」
と、よく言っていました。
下の子が生まれると赤ちゃん返りをする、上の子がやきもちで下の子をいじめる、と聞いていても、長男の次男に対する暴力行為は一般的な赤ちゃん返りのレベルではない、何かがおかしいと私はうっすら感じていました。
次男は小さな頃から長男に叩かれるため、いつもいつも顔が傷だらけで体に青あざが出来ている事もありました。
赤ちゃん返りで上の子が下の子を叩くと言っても、それ程皆殴られるのか?
という疑問が私の中には常にあり、いや、いや、おかしい! 絶対におかしい!ここまで弟妹を拒否している子を見た事がない!
私はそう思っていても、何をどうすれば良いのか解決策を見つけ出すことが出来ずにいました。
私を育てた親に状況を話し、解決策を聞いても、神経質に考えなくていい、男の子なんてそんなもの、と言っており、長男の暴力行為を気にする私がおかしいのかな・・・気にし過ぎなのかな?と思う事もありました。
誰に相談しても、男のは子激しい、そんなものと言われ親身に相談にのってくれる人はいませんでした。
・・・
公園で子供を遊ばせていると、ママ友の誰かが、
「昨日兄弟で殴り合いの喧嘩をした」
と、言っていて、あー、やっぱり我が子だけが異常な訳ではないんだな・・・とホッとした事を覚えています。
家庭内の閉ざされた空間の中、我が家の子供たちがどれ程酷い状態なのかは誰にも理解される事はありませんでした。
育てている私自身も、我が家が特別に酷いのか、激しいけれど正常な範囲内なのか、分かってはいませんでした。
・・・
仕事が忙しく、昼間、子育てをしていない主人も、その大変さを理解してはいませんでした。
私は長男が毎日楽しい時間を過ごせますように!と、毎日お弁当を作り2人の子供を連れて、児童館や公園へ出かけるように心がけていたので、昼間は平和に過ごせるのですが、夜はどうする事もできませんでした。
・・・
長男が特に反抗的になりだした2021.6月頃から、長男の次男に対する拒否反応は、より一層激しくなっていき、長男が次男に馬乗りで殴る事が常習化していったのです。
それは、毎日、毎日、毎日、毎日、繰り返されました。
次男は、顔を涙でぐちゃぐちゃにしながら、
「ぎゃーーーーーーーーーーーーーー」
と言って泣き叫んでいて、私が、長男に、
「やめなさい!」
「もーーー!」
「やめなさいって!!!!」
と、止めに入るのですが長男は、握り締めた拳により一層力を込めて、
「うるせーーーー!!!」
と言いながら、次男を殴り続けていました。
私は、ぎゃーぎゃー泣き叫んでいる次男をかばいながら長男に、
「もう!離れなさい!」
「もーーーーー!!!!どうしたの!!!!!」
と長男を止めようとしても、長男は、
「次男が嫌い!気持ち悪い!」
と次男が傷付く言葉を言い続けました。私はなぜそんな事を言うのかと長男に何度も尋ねましたが、長男は、
「気持ち悪いから、嫌いだから、バカだから!」
と理由にならない理由を言い、次男を傷付け続けました。
・・・
年齢が上がってくると、やられっぱなしの次男にも意志が出てきて、長男の言いなりにはならず、やり返すようになっていきました。
2人ともまだ小さいとはいえ、体も段々大きくなり、力も少しずつ強くなり、長男と次男の喧嘩は日々激しさを増していきました。
・・・
私はいつも長男の暴力行為に対し、長男の事を強く責めました。
「何であなたはそんなに暴力的なの?」
「何であなたはそんな事ばかりするの?」
「何で?」
「何で?」
「何で?」
「何で?」
その答えはいつも、
「次男が嫌いだから」
それだけでした。
・・・
長男の次男への暴力を止めさせるために、私は色々な作戦に出ました。
ある時は、暴力を振るおうとする長男に聞こえるように、次男と娘に、
「あっちの部屋行こ、お兄ちゃん頭おかしいから!この部屋にいるとお兄ちゃんに叩かれるから、あっちの部屋に行こ!」
と、長男の心に、
「あなたは悪い子!」
と刻みつけるような、長男が傷付く言葉をあえて選び、長男1人を部屋に取り残す。
またある時は、長男が次男を叩いたように私が長男を叩いて、
「ほらね!叩かれたら痛いでしょ!次男を叩くのをやめなさい!」
「もーーーー何であなたはそんなふうなの!」
「何でなの!」
「何があったの?」
と取っ組み合いの喧嘩をする。
また別の時には、毎日繰り返される暴力行為に私が疲れ果て、号泣しながら長男に、
「もう、お願いだからやめてよ、お願いだからやめて、、、」
と、泣き落とそうとする。
・・・
その時々の、自分の気分で方法を変えて長男に次男を殴る事をやめるように訴えかけました。
どれほど長男に訴えかけても、どれもその場しのぎにしかならず、長男の暴力行為が根本から治る事はありませんでした。
息子2人が馬乗りになって、叫び合いながら殴り合いをしている中、状況を何も理解していない2歳の娘は、キョトンとして私に、
「おかあたん(お母さん)これ読んで」
と本を持ってくる。
そんな娘の横で息子たちは、
「お母さん、お母さん、お母さん、お母さん!!!!」
「こっちが悪い!あっちが悪い!」
「あっちが!・・・こっちが!」
と、私に訴えかけ、長男か次男のどちらが悪いのかをジャッジしろと言ってきます。
母親が長男か次男のどちらの見方をするのか、どちらを庇うのか、それを知りたい!そんな感じでした。
記憶があまり残っていませんが、私は殴られ続ける次男を私の身体で守っていた様な気がします。
長男が全力で次男に向けた拳が私に当たり、身体的な痛みと、精神的苦痛が重なり、絶望感のような、とても悲しくて、とても苦しくて、とても痛かった事をなんとなく覚えています。
次男も、手足をばたつかせ、力の限り長男にやり返していて、私は2人共が殴られないように!と2人の間に入り、私が長男にも次男にも殴られている状態でした。
・・・
6歳の次男は口の中がキレて血まみれになっている事もあり、 2歳の娘にそんな激しい喧嘩を毎日のように見せるのはとても辛かったです。
2人をとめる事が出来ず、私が居なければ殴り合いの喧嘩をやめるのではないか?と思い、娘を抱いて車に逃げた事もありました。
車に逃げ込むと、次男が私を探して声の限り叫ぶので、ご近所にその叫び声が聞こえていて、次の日に「昨日、大丈夫だった?」と声をかけられた事もありました。
それほど激しい喧嘩を長男と次男はいつもしていました。
・・・
長男がお出かけを嫌がり、次男と娘と3人でお出かけをすると何だかとても平和な気分になりました。 私は心の中で、
「えーーー!!!なにこれ?」
「これが通常の子育てなの?」
「楽過ぎない?」
「長男が一緒にいないと、子育てってこんなに楽なの?」
と思ってしまうのです。
・・・
私はいつも、周りの、仲の良さそうな家族を見ると、
「何でうちだけ?」
「何で私だけ、、、」
と思い、とても苦しい気持ちになっていました。