13 次男の異変
13 次男の異変
2021.8月後半
長男の情緒が乱れることで、我が家は家庭内不和になっており、その影響からか次男がこの時期から、無意味に叫んだり、突然物を投げつけたりするようになっていました。
幼稚園の帰り道、私が、
「今日は幼稚園どうだった?」
と、聞くと、次男はとても無気力で、とげとげしい雰囲気で、
「全然つまらない、だから僕は1日中座っていただけ」
と、答える日が増えていきました。
私は次男が毎日長男に酷い事を言われ、殴られている現状を幼稚園の先生に伝え、次男の様子を気にかけてもらうようお願いしていました。
次男はもともと、人と積極的に関わる事が得意ではなく、 長期連休明けに幼稚園に行くと、仲の良い友人といつものように遊べるようになるまでに、1か月程掛かるような子どもでした。
そんな次男はいつもいつも長男の顔色を伺い、
「ぼくが、これをやってもいいのかな?長男に何か言われないかな?」
と怯え、何をする時も、長男に何か傷付く言葉を言われないか、と考えながら行動しているようでした。
次男は長男がいなければ、何にも怯えず伸び伸びとすごしているのですが、楽しく遊んでいる空間に長男が加わると、次男の顔つきは一気に変わり「長男に何かを言われるのは嫌だから」と次男は無気力を装うようになりました。
ある日次男が早起きをして漫画を読んでいると、長男が起きてきて、力ずくで次男の読んでいる漫画を奪い取りました。
漫画を奪われ次男は大泣きしていましたが、長男は一向に漫画を貸そうとはしませんでした。
そんな、次男の心が不健康になるような出来事が毎日毎日続いており、2人の漫画争いに疲れていた私は、次男に長男と同じ漫画を買い与える事にしました。すると長男が、
「次男にだけ買うなんてずるい!」
と文句を言い始めました、私が、次男も読みたいのに長男が漫画を貸さないから買うしかないんだよ、と説得しても、
「ずるい!ずるい!僕にも買ってよ!!」
と長男は言い続けました。私はそんな長男の事を、またいつものわがままだな、と不快に思っていました。
結局私は長男を説得する気力もなく、とにかく喧嘩をしないでくれ!黙っていてくれ!と言う気持ちで、同じ漫画の同じ巻を10冊づつ、2人に買い与えました。
2人共が漫画を手に入れ、平和になるかとほっとしていると、今度は寝かしつけの時に読んでほしいと言われるようになりました。
私が長男に読めば、次男が僕にも読んでと言います。
長男に読んだ後に次男に読めば、長男が僕にももう一回読んでと言う。
本当に読んでほしいというよりは、自分の方がお母さんに沢山本を読んでもらった状態で眠りにつきたい、という兄弟間のくだらない争いをしているように私には見えました。
私が次男に漫画を読んでいると、長男はわざと不自然な程に大きな声で笑い、邪魔をし、自分の存在をアピールしているように見えました。私は内心、
「あー、毎日毎日面倒臭い!何回も読むのは疲れるから、2人同時に聞いてよ!」
と思っていましたが、その提案をしても長男は、次男と一緒に本を見たくないという理由で受け入れてはくれませんでした。
それなら、寝る前に2人に2話ずつ読む!と約束を決めると、長男は、
「次男の方が1話のページ数が長かったから、僕だけにもう1話読んで」
と言い、それを聞いた次男が兄に読むなら僕にももう一回読んでほしいと言うのです。
お互いが自分の主張が通った状態で争いを終了したいため、その喧嘩に折り合いが付く事はありませんでした。
毎日、毎日、毎日、毎日、繰り返される解決しようのないこの無意味な争い。
私は本当にうんざりしており、優しい言葉を掛ける心の余裕はありませんでした。
・・・
そんな日々の中、次男の様子がだんだんとおかしくなっていきました。
ある日、買い物から帰ると、普段温厚な主人が次男にきつく叱って(怒って)いました。
主人が次男をあまりにも叱りつけた為、長男が、
「お父さんやりすぎだよ!」
と叫ぶと主人は振り返り長男に向かって、
「お前が言うなよ!!!!!」
と、怒りをぶつけていました。主人の珍しいその態度に、私が、
「怒りすぎだって!」
と口をはさむと、主人は、私の方を見て、お前だっていつも怒っているくせに!と言いたげに私を見て、
「お前が言うな!」
「お前だけは言うな!」
と言い返してきました。
もう家庭内がぐちゃぐちゃで、誰も誰の事も思いやれておらず、仲間であるはずの家族全員が敵同士のようでした。
主人は、子育てに疲れ果て常に機嫌が悪い私に嫌気が差していただろうし、私も、仕事ばかりで現状を理解していない主人に苛立っていたのです。
・・・
家庭内不和が酷くなりだしたその頃から、次男は心身ともに不調になりました。
次男の頭には10円禿ができ、爪が全てなくなる程、爪を噛み、顔には覇気がなく無気力になっていきました。
今まで優しくしていた妹にも、不必要に意地悪をし、わざと妹を泣かせるようになりました。
家中のどこかで、誰かが争い合っている、そんな悲しい家族になっていったのです。