不登校復活の道(ブログ)
115 実家近くの物件を見に行く
115 実家近くの物件をみに見に行く
2021/12月頭
息子が、
「引っ越したい」
「ここは嫌!」
と、何度も何度も訴えるので、実家近くの物件を探しました。
実家に近く、部屋数もあり、これなら、何とか住めるだろう、という物件があったので長男も連れて、家族で見に行きました。
行き道に雨が降っていて、到着する時には雨が止み、今から見に行く物件の上に虹が2本かかっていました。
今まで見たこともないような、くっきり、はっきりとした虹でとても綺麗でした。
主人が、
「何この虹、もう引っ越せって言われてるね、決めちゃうか」
と言いました。
私の気持ちは、
・もう1人で全て回していくのは精神が限界
・楽になりたい
・長男も次男もフリースクールがいい
・遠方のフリースクールの送迎を考えたら、娘もいるので実家近くしか物理的に無理
・引っ越せば息子が外へ出られる
と思っていました。
姓名判断をしているハンコ屋さんにも、家の方角が良くないと言われたし、家の査定も出したし、
「もう、引っ越そう!」
と、私の中で決心が固まっていました。
長男は寝ぐせがつき、表情が見えない程に伸びた髪で、ガリガリに痩せ、ズボンがずり落ちてしまうのを、何度も直しながら、その物件の中へ入っていきました。
主人が不動産会社の人と話をしていました。
長男は玄関から入ってすぐの部屋に行き、私に向かって、
「なにここ?」
と言いました。
私は、
「ん?」
「引っ越したいと言ってたよね?ここに引っ越そうかと思っているよ」
「どう?」
と聞くと、
長男は、
「嫌だ、ここは嫌」
「引っ越すのはいいけど、ここには住まない、住みたくない、絶対に嫌」
「もう、車に戻る、連れて行って」
と言いました。
私は、主人に長男の言葉を伝え、車に戻りました。
主人は、
「全て、長男の言う事を聞く。そうすると決めたのだから、彼がダメと言うならダメなんだよ。仕方ない、シンプルにいこう。何も深く考えなくていい、彼の言う事を聞く、そうすると決めたんだよね?また引っ越したい、と言い出したら、その時考えよう。」
そう言って、それ以降その物件の話はしませんでした。
引っ越して、少しは楽になる、と思っていた私は、
「あ、やっぱり今の生活から抜け出せないんだな」
「結局、このままなんだ、私1人で手のかかる3人をどう面倒見ていこうか」
と、少し落ち込んでいました。
114 情緒が安定してきた?
114 情緒が安定してきた?
2021/12月中旬
この頃、行き渋り以降ずっと無気力で感じの悪かった息子の態度に、変化がありました。
・自らズボンを履き替えた
【自ら、ずぼんを履き替える】そんな当たり前の事が私にはビッグニュースになる程、当時の息子は無気力でした。
・娘を寝かしつけている時に、「お腹空いた、ご飯作って」と言いましたが、寝つくまで、待ってくれました。
以前は少しの時間も待てませんでした。
・事ある毎に、「ありがとう」を、沢山言う
やたらと、私に「ありがとう」と言うようになりました。
・弟を思いやる
「弟に、マリオカートどのコースがいい?」と聞き、弟と一緒にスイッチ(ゲーム)が出来る日がありました。以前は絶対に一緒にゲームはせず、弟だけにはスイッチを触らせませんでした。
・前髪を切る
長く伸び切った髪の、前髪だけ切らせてくれました。
・顔の表情が穏やかになってきた
以前は全く笑いませんでしたが、少し顔を上げて、笑う日が出てきました。
完全不登校になり2か月、ゲーム以外の事をしなくなってから40日ほど経ちました。ゲームは毎日、平均16時間やっていました。
克服ママの言った、【過保護にする】をして、数か月、息子は良い方に向かっていました。
やはり、このやり方がいいのだろう、と私は思っていました。
主人は、今のやり方に疑問を持っており、
「今の子育ては、モンスターを育てているみたいに感じる。この先、子供たちがどう成長するのかが怖い。次男までもが無制限でゲームをしていて、他の事では全く遊ばなくなっている。俺の目からは、無気力で、怠け者に見える。長男も今は動画やらゲームやらで頭がいっぱい。ゲームが出来ないから外出しない!という子になっているよね。子供らしさのかけらもないよね、2人とも」
と、疲れた感じで言っていました。
私の中にも同じ不安があるので、気持ちは痛いほど分かります。
でも、じゃあ、どうしたら良いの?
今の対応が良くないなら、どんな対応にしたらいいの?
息子達を取り締まり、親の言う事を聞かせるの?
今のこの子達が、親の言う事を聞くと思う?
今のやり方に不満があるのなら、他のやり方を調べて提案してほしい。
口には出しませんでしたが、そんな気分でした。
知り合いの方が、私にこんな事を言っていました。
「長男君は、今は、ゲームをしていたいんだよ」
「今は!だよ、今は!」
「今までの、外遊びをした時間を平均したら、数年ゲームしかしなくても、一般的な子供の外遊び時間の平均値になるんじゃない?それくらい、よく遊んでいたと思うよ!大丈夫、心配いらない」
「あの時期に培われた、身体能力や感受性は、絶対残ってるから!成長の土台になっているから」
「今、この時期は、ゲームをやりたい、ゲームしかしたくない!」
「そんな感じなんじゃない?私は、そう思うよ」
以前から信頼を寄せていたそのママは、私をそう、励ましてくれました。
表面的な分かった様なアドバイスを貰うと、不快になり、聞く気になれませんでしたが、このママの励ましは、すっと自分の心に染みわたり、安心することができました。
やはり、今の「過保護にする、好きにさせる」の子育て法は間違っていないはず!
続けて行こう!と思いました。
113 診断書が腑に落ちない
113 診断名が腑に落ちない
2021/12月頭
医療センターの診断書に、【自閉症】の文字を見てから、私は、自閉スペクトラム障害というよりも、【自閉症】というキーワードばかりネットで検索していました。
私は、それまで、医師や専門家の診断は、間違いないものだと思っていました。
しかし、自分で調べた典型的な自閉症の子どもの症例は、息子の現状とは合致しない点がたくさんあったので、この診断結果は、受け入れ難く感じました。
診断名が腑に落ちない私は、他の専門機関に話を聞きにいきました。
その専門機関では、
「医者が本人と話していないのに、自閉症スペクトラム障害の診断を出すのはおかしい」
と言われました。
「もー、何がなんだか分からない!」
どこの専門機関の、誰が言っている事が本当なの?
発達に偏りのある子を専門に塾を開いている先生は、
「診断名が付く前も、付いた後も、その子である事に、何一つ変わりはなく、悲しむ事はありません。学校に特性を理解してもらい、特別な対応をして欲しい時に診断書を都合よく利用したらいいだけです」
と言いました。
調べると、自閉症の特徴として、
・コミュニケーション能力が低い
・人の気持ちを汲み取れない
等がありましたが、
息子は、人の気持ちが汲み取れない、というよりも、むしろ、周囲に気を遣いすぎるところがありました。
周りの子どもたちのペースに合わせ過ぎ、心の内側に大きなストレスを抱えるようなところがありました。
例えば、・・・。
友達に誘われると、理由もなく断る事が出来ず、気が進まなくても無理をし、付き合うような事がよくありました。
楽しそうだと私が思っていたら、その後、疲れ果てて自室にこもってしまう、そんな事がよくあったのです。
上の姉は、いつも、
「まだ人生のほんの一部!一流大学を出て立派に就職しても引きこもる人がいる! 長男君は、そういう意味では大丈夫な気しかしないよ」
と励ましてくれていました。
励ますと言うより、本当に、そう信じている事が伝わる言い方でした。
それなのに、母親である私は、この先、いつまで引きこもるのだろう、4年で行けなかったら、5年も行けなくない?5年で行けなかったら、6年も行けないじゃん!6年で行けない子は、9割中学も行ってないじゃん!そうやって、ずっと行けずに、大人になっても引きこもるの?
この子の人生は、たった8年で真っ暗なの?と考え、不登校をネガティブに捉え、1人で不安に駆られていました。
112 外の世界に怯えた日
112 外の世界に怯えた日
2021.11.29
この日の事はよく覚えています。
いつも、ゲームばかりで引きこもっている長男を、主人がテニスに誘いました。
長男の小学校区ではない、少し離れた地区のテニスコートのある公園に行きました。
遊具があり、その奥に広いグランドがあり、その更に奥へ行くと、テニスコートがありました。
長男は同年代の子に会う事を極端に恐れていました。
行きは、他の子供たちが遊んでいる遊具やグランドを避けて、テニスコートへ向かいました。
テニスコートは高い塀に囲われており、外から中の様子は見えません。
長男は、あまり元気がないものの、周りの視線を感じないテニスコートで、伸び伸び遊んでいました。
家族でテニスをし、帰路に付く際、私は下の子のお世話をしていたため、主人と長男が先にテニスコートを出ました。
主人に長男の状態を話してはいるものの、普段の様子を見ていないため、同年代の子供達がいる空間を、どれ程長男が恐れているのかを、主人は理解していませんでした。
主人と長男は私より100メートルほど前を歩いていました。
主人が先に歩き、長男が後を追っています。
主人は、沢山の子供のいるグランドの真ん中を通り、遊具の方へ向かっていました。
後ろから見ても、長男の様子がおかしいことが分かりました。
主人は気が付いていません。
私は下2人を残し、長男の方へ駆け寄りました。
声を掛けると、振り向いた長男の顔は、今にもこぼれ落ちそうな涙を目に溜め、あたふたし、体が震え、隠れる場所を必死に探しているようでした。
私が、
「大丈夫?」
と聞くと、
我慢していた涙があふれ出しました。
「帰りたい、帰りたい、帰りたい!帰りたい!!!」
「車どこ!早く乗りたい!」
「早くここから離れたい」
「ねー、車どこ」
「ねー!ねーー!!ねーーー!!!」
周りに子供が沢山いるため、呟くような声で、それでも叫んでいるような雰囲気で、口をへの字にし、私の体で、自分自身の体を隠そうと小さくなっています。
徒歩5分程の場所に車が停めてあり、駐車場へ行くには沢山の子供のいるグランド横を通る道しかありませんでした。
私は、長男に、
「急いで車取って来るからね、待っていてね」
と言うと、
長男は、
「嫌だ、嫌だ」
「早く、早くしてよ」
「なんで、なんで車遠くなの!」
「ねー、何で、早くしてよ、早く車乗りたい、帰りたい、帰りたい」
と、周りをキョロキョロと見渡し、隠れる場所を探しています。
私はグランドと長男の間に立ち、視界をさえぎりました。
公園と道を挟んだ向こう側に自販機がありました。自販機の後ろに回れば公園からは長男の姿が見えないので、長男をそこで待たせ、私は急いで車を取りに行きました。
私は主人に、パニックになる前の感じだから、長男から離れないでほしいとお願いし、急いで車を取りに走りました。
車に乗り込むと、長男は、ダッシュボードに入れていたゲーム機を乱暴に手に取り、狂ったようにゲームを始めました。
そんなに近くて、画面が見えるの?と思う程、ゲーム機に顔を近づけ、
「おー、すげー」
「わー、勝った」
「おー、楽しい」
と、不自然にずっと1人で叫んでいます。
助手席に座り、前のめりでゲームの世界に入り込む長男の姿は、異様な雰囲気で包まれていました。
運転しながら長男の顔を、ふと見ると、顔が涙でぐちゃぐちゃでした。
声だけ聴いていると、笑っているのに、顔は涙でぐちゃぐちゃ。
その涙を拭うこともせず、ひたすらゲームボタンを押し続けます。
・・・
私が泣いてはいけない、私が泣いてはいけない、涙が出ないように、涙が出ないように、と思えば思うほど、喉の奥の辺りが熱くなり、痛くなり、自然と涙がこぼれ落ち、止めることが出来ませんでした。
今でも、この出来事、あの時の長男の様子は、昨日の事のように、鮮明に覚えており、脳裏から離れません。
この世に出て、まだ8年しか経っていない子供が、なぜここまで苦しむのか。
私の、何が、この子をここまで追い詰めてしまったのだろう。
111 次男の試し行為
111 次男の試し行為
2021.11
克服ママに「過保護にすること!」と言われたことを頑張っていました。
出来る限り長男の望みを叶えるよう、わがままを言われても指摘せず、可能な限り対応する。
そんな私の変化を見ていた次男が、私に言いました。
次男:
「お母さんは、お兄ちゃんのことが好きなんでしょ」
「お兄ちゃんのことだけが好きで、お兄ちゃんのことだけが大事なんでしょ」
そんなことを何度も何度も繰り返し聞いてきます。
私は次男と2人きりの時に、
「世界で一番次男の事が好き!」
「こんなかわいい子、どこにもいない!」
「お兄ちゃん、今元気がないから、お兄ちゃんばかりに構って、我慢させちゃってごめんね」
と言っていました。
寝かしつけの時間は、
「妹の隣で寝なよ!」
「お兄ちゃんの所(リビング)に行きなよ!」
「僕の横になんて来ないでよ!」
「早く!行きなよ!」
と、突き放してきます。
私は、
「今は次男との、とっても大事な時間だから、意地でもここからどかないぞ!」
と言って、次男を抱きしめ、放しませんでした。
次男は、歯を食いしばり
「やめろ!やめろ!」
と、目に涙を溜め、蹴ったり叩いたりしていました。
この子の情緒は大丈夫だろうか?
食事を作っても、
「これは、嫌」
「あれは、嫌」
「作り直して!」
「今すぐ違うの買ってきて!」
そんな要求が、日に日にエスカレートしていきました。
いろどりに野菜をお皿にのせるだけで、
「嫌がらせかよ!ふざけるな!」
と言って、野菜を投げつけてくる事もありました。
長男の似た様な要求を、私は全て聞き入れているため、次男は試し行為をしているのだろう、と出来る限り対応するようにしていました。
次男は不登校ではなく、健常だと思っていたので、
「こんな事聞いていいの?」
「人を思いやれない子にならないの?」
という不安が脳裏をよぎり、不安になりました。
そしてついに、2歳の娘までが、
「いらない」
「違うのほしい」
と兄たちを真似るようになりました。
私は1日に何食もご飯を作り、何度も何度も作り直していました。
作っても食べてもらえず、要望通り作り直したものですら、一口食べて「もういらない」と残す・・・。
「もぅ、いい加減にしてくれ!」
こんな事、本当に続けていて大丈夫なのだろうか?
この子達は、どんな子に育つのだろうか?