2023年12月の記事一覧
157 次男の入学式
157 次男の入学式
2022年4月6日
次男の入学式でした。在校生は旧クラスで1年生の入学式に参加しますが長男は家で眠っていました。
次男は緊張はしているものの、特に嫌がることもなく出発しました。
入学式の列に並んでいると、次男はランドセルを主人に持たせ、主人のワイシャツの中に手を入れて、ガチガチに体を固まらせ、主人にしがみついていました。
表情が硬く、周りでニコニコ笑いながらランドセルを背負っている無邪気そうな子供がやたらと目につき、「あー、またうちの子だけだ」そんなことを思った記憶があります。
次男を教室に送り届けました。
次男の名前が書いてある机まで送っていき、保護者は体育館へ行くよう言われました。
次男に「後でね」と言い、教室を出ました。振り向くと次男は体を突っ伏して、ガチガチにフリーズした体をねじり、何とか座っているように見えました。
私は主人に、
「卒園式、知り合いばかりの場所であんな感じだったし、入学式は知らない人ばかりだし、大人数だし、どんな感じになるか分からないよ」
「学校側には、絶対に無理やり式に参加させたり、頑張ろうねと声をかけすぎたりしないでほしい、式場に入れないなら、親が付き添うのですぐに呼んで下さい、と伝えてあるから」
と言うと、
主人は、
「分かったよ」
とだけ言い、うなずいていました。
式が始まると、元気そうに入場する1年生の中に次男はいませんでした。
皆が入場し終わり、式が始まるころ、次男は付き添いの先生2人に支えられ入口に立っていました。
ほかの1年生は全員着席しています。
保護者席から遠目で見ていても、次男は両肩が頬のあたりまで上がり、体が動かない、そんな様子が伝わってきました。
私は付き添っている先生の方を見ていました。
付き添ってくれていたうちの1人が、長男の2年生の時の担任の先生で、面識がありました。
先生がこちらを向き私に目配せをしたので、私は主人とすぐに先生の方へ行きました。
次男を引き取り、私と主人と次男は3人で体育館横のテラスで運動場の方を向き、式とは関係ない、何でもない話をし続けました。
校長先生が何か話している声が、何となくぼんやり響いて聞こえてきました。
しばらくすると次男が、
「僕、中に行かなくていいの?」
と聞きました。
私は、
「どうしたい?」
「自分で決めていいんだよ」
と言うと、しばらく考え、中を覗いていました。
またしばらくすると次男は、
「中に入る」
と言い中に入りました。
1年生の席には行かず、保護者席で両親の間のパイプ椅子に座り、お山座りをしたり、体をのけぞらせたり、体を終始くねくねさせて落ち着かない様子で式に参加していました。
パイプ椅子の上でずっと動き続けるので、ズボンの中に入っていたワイシャツは全て出てしまっていました。
式が終わり集合写真を撮る際、次男は上履きを履けませんでした。
「写真の時だけ履いておこうか」と言いましたが頑なに嫌がりました。
整列の順番を指示している先生が次男に話かけました。
「写真」「撮る」「ここ」「座る」「〇?」「座る」「ここ」
単語に区切って、聞き取りやすいようにはっきりと話しかけ、〇?と聞くときは両手で〇を作って次男に見せていました。
あー、【単語でしか言葉の通じない子】として話しかけているんだな、とすぐに分かりました。
次男は普通に会話のできる子です。
今は新しい環境が苦手なため、緊張で体がフリーズしているだけでした。
話かけてきた先生に悪気がないことも、親切心であることも理解した上で、私はその配慮がとても不快で、不安な気持ちが生まれました。
この子は普通に会話を理解するのに!そんな話し方しなくてもいいのに!
そんな気持ちと、
この子は周りから見たら、明らかに健常児ではないのだな、そうなんだな。
そんな気持ちの入り混じった、入学式に本来ならば感じるであろう【幸せの感情】とは程遠い感情でした。
式が終わり、子供たちは教室へ戻りました。
次男は担任の先生と一緒に教室へ行きました。
次男を見送ると主人が、
「今日の様子を改めて見ていると、貴方には今まで苦労をかけていたんだろうね。イベント毎に、いつもこんな感じだったんだよね?大変だったよね?なんか、こんな父親で申し訳ないな。これからは協力していこう。今までごめんなさい。絶対にあの子達の未来を切り開ける場所を探していこうね」
と私に言いました。
帰りは通学団に顔合わせをしながら一緒に帰る予定でしたが、次男は通学団の方へは行かず、無意識かのようにふらふらと正門に向かい、帰ろうとしていました。
私と主人が、
「今日は通学団で行くんだよ」
と何度か言いましたが、次男はうろうろし、目がうつろで正常には見えなかったため、主人が教頭先生に、
「申し訳ないけれど、今日はもう帰らせます」
と言い、主人と次男は先に帰りました。
私は子供たち全員が帰るのを待ち、次男の担任の先生にお礼と謝罪をし、帰宅しました。
家に帰ると元気いっぱいの次男が遊んでいました。
「今日はお疲れさまでした」と言い、それ以上式の話はしませんでした。
この子は、明日からどうなるのかな?学校行けるのかな?
長男の部屋を覗くと、在校生として式に参加するはずの長男が、まだ布団の中で眠っていました。
なんとも言えない悲しい気持ちになりました。
心の中で、なんでうちの子だけ、どうして2人とも何かがおかしいの?皆が出来ることができないの?その気持ちを完全に拭い去ることを、私はなかなかできませんでした。
156 次男の小学校入学式前夜
156 次男の小学校入学式前夜
2022年4月5日の深夜
長男が深夜0時から明け方4時くらいまで、泣き続けました。
突然、私が座っているソファの周りをぐるぐるぐるぐる回り出し、笑いながら、
「お母さん大好き、お母さん死なないで」
そんな事を言い始めました。
長男が笑っていたのは最初の数十秒だったと思います。そこからは、崩れ落ちる様に泣き始めました。
長男は、
「友達と遊びたい」
「僕には友達がいない」
「学校に行きたい」
「勉強したい」
と話し始めました。
不登校前まで、我が家はゲームを与えておらず、長男が、
「ゲームの話についていけなかったのも辛かった」
と泣くので、
私は、
「それ、本当にごめんね」
と謝ると、
「それはいいんだよ、お母さん」
「お母さんがゲームをくれなかったから、僕は足が速くなったし、遊び上手になったし、それには本当に感謝しているんだ」
「ありがとう」
「だからその事はいいんだ」
と言いました。
その先は、私はただただ長男の話を聞き続けました。長男はこんな不満を言っていました。
「授業中つまらない時、僕の唯一の楽しみが落書きだった」
「僕は、つまらない時間を乗り切るために、1週間かけて大好きなヨッシーを机に内緒で描いていたんだ、それだけが僕の楽しみだったんだ」
「隣の席の女子に見つかって、「机に描いちゃだめだよ!」と消しゴムで消されたんだ」
「僕は机を体で隠して「やめて、やめて」「消すなら自分で消すから」「お願い止めて!」と頼んでも、1人の子が僕の両腕を掴んで3人がかりで消してしまったんだ」
「それを遠くから見ていた担任の先生が、消し終わった頃に近づいて来て、僕が泣いているのに消し続けた女子に向かって「どうもありがとう」って言ったんだ」
「お母さん、先生はそんなに偉いの?先生は神様なの?全て言う事を聞かないといけないの?ねー、どうして?」
「とにかく担任の先生が嫌だったんだ」
「教え方が下手くそで、全然頭に入ってこない」
「頭がいい子ばかり褒めて優しくするんだ」
「真剣に考えても、答えを5回間違えてしまった友達がいたんだ」
「その子が担任の先生に「ふざけているの?」と怒られていたんだ」
「頑張っても出来ないかもしれないよね?酷いよ」
「そんなこと言うのは酷いよ、とても嫌な気分だったんだ」
「あの先生は全ての事がそんなふうなんだ」
「やる事を全て決めてくるんだ」
「テストが終わった後に、落書きや折り紙がしたくても、読書しかダメと言う」
「持っている本は、数日前に借りて、何度も何度も読み返した本でつまらない」
「なぜ、折り紙を折っちゃいけないの?なぜ、落書きをしちゃいけないの?」
「静かにして、邪魔をしないために本を読んでいるんだよね?折り紙や、落書きでも邪魔にはならないよね?」
「何でそんな事まで決められなければいけないの?何で皆同じ事をしなくてはいけないの?言っている事がおかしいよ!大嫌いだ!」
「2年生の終わり頃から、女子が鬱陶しい事を言うようになったんだ」
「僕はいつも分からない所を一生懸命教えてあげているのに、全然教えてくれなくなったんだ」
「意地悪だよ、そんなのは」
「放課は皆、パソコンしかしない」
「外で沢山鬼ごっこしたいのに」
「皆ゲームの話をして、パソコンばっかりいじっているんだ、つまらないよ」
「お母さん、人は見た目がそんなに大切なの?僕の友達にとても太っている女の子がいるよ」
「その子はとても優しいよ」
「僕は見た目が良い人より、人の気持ちをちゃんと考えて、人に優しくできる人の方がいい」
「太っているとか、いないとか、関係ないよね?それなのに、何で皆見た目の事を言うの?酷いよ」
・・・
「僕は小さな頃、お母さんともっと話したかったのに、もっと遊びたかったのに、もっと一緒に時間を過ごしたかったのに、家に次男がきて、全然構ってもらえなくて、寂しくて寂しくて、今思い出すだけで吐きそうなほど悲しかったんだ」
涙を流し、たまにぐるぐるソファを回る足を止め、ソファに顔を伏せて嗚咽する。
思う存分泣くと、またソファを回り、泣きながら、たまに苦笑いを浮かべながら、長男は話し続けました。
「友達に会いたい、遊びたい、勉強したい」
長男は、
「友達に「何で学校に来ないんだ!」って聞かれたら「おめーに関係ねーだろー」って言えばいいかな?」
と自問自答していました。
4時間経ち全て話し終え、落ち着きを取り戻すと、長男は部屋を片付け始めました。私が、
「明日掃除するから大丈夫だよ」
と言うと、
長男は、
「僕が積み木を踏むと痛いからだよ、僕のために片付けているだけだよ」
と言うので、一緒に部屋を片付けました。
片付け終えると、
「僕、折り紙折りたいな」
と言うので、2人で折り紙を一緒に折りました。
少しスッキリした顔で長男は折り紙を折っているよう見えました。
明日は次男の入学式です。
155 2022年3月末の長男の様子
155 2022年3月末の長男の様子
長男が次男と仲良くしていました。ゲームのコースの作成の仕方をとても優しく教え、ゲームソフトも貸し借りしていました。
この頃、長男は人に対してとても親切で優しい事が多かったです。
「公園に行ってみようかな」と呟いている事もあり、動画を見る時間も以前に比べ減っていました。
次男が私の問いかけに無反応にしていると、長男はふざけて笑いながら、
「次男ちゃん、お母さんが呼んでますぞ、返事なさい!」
と次男に言う。
次男が私にやたらと歯向かって文句を言っていると、
「やめろ、お母さんに変な事言うな!」
と注意する。
娘に対する態度も柔らかくなっており、娘が長男がゲームをしているのを邪魔し、長男の頭の上に座っても、笑いながら、
「やめてくださいよー!でも大丈夫だよ!」
と言う。
私が娘に、
「お兄ちゃん、ゲーム見えないよー、どくんだよー」
と声を掛けると、
長男は、
「お母さん、僕、嫌だけどね、でもいいんだよ」
と娘を庇いました。
娘が、お兄ちゃんに優しくされることに喜び、テンションが上がり、ふざけて長男の顔に唾を吐きました。私はさすがに怒るだろうと思いましたが、長男は、何も言わずに自分の腕でふき取っただけでした。
ぐずり続ける娘に、私がイライラし始めると、長男が空気を察し、私の方を向き、「お母さん」と声をかけ、【ダメだよ】と言いたげに首を振る。
そんな事がとても増えていました。
・・・
とても安定している様に見えるのに、夜になると長男は理由を言わず涙を流している事がよくありました。
ある日長男が、
「まだ、コロナ終わってない?」
と涙目で聞いてきました。
私が、
「心配なの?大丈夫?」
と言うと、涙を拭きながら
「泣いてないよ、オレンジジュースがすっぱいだけだよ」
と下を向いて言いました。
・・・
2022/3/31(木)
当時私は、資格取得のため、通信制の学校のスクーリングに行く事がありました。学校のある日は朝の8時に出発し夕方5時に帰ります。
まったく行かなくてよい月もあれば、最大で6回ほど通う月もありました。
長男が昼夜逆転していれば、置いて行ってよいのですが、睡眠サイクルがずれ、朝に起きるリズムになっている時は、長男を置いて行こうとすると、
「お母さんがいないと寂しい・・・」
と言い、泣くことがありました。
次男が春休み、
「仲の良い友人とテーマパークに行きたい」
と言いました。
長男は、
「お母さん、家に居てよ、僕寂しい」
と言う。
そんな事が頻繁にありました。
次男も、気の許せる友人としか関りを持とうとせず、次男が友人と出かけたい気持ちは、私がとても大切にしたい事の1つでした。
でも、長男は「行かないで・・・」と言う。
大人は私しかおらず、同様の課題で困る事がよくありました。
夜通し眠る事が出来ず、
「お母さん、僕、全く寝ていないのに、全然眠れない、寝たいのに、眠れないよー」
と泣き出す日もありました。
ある日、長男が突然、
「おかあさん大好き、お母さんありがとう、お母さん本当にありがとう、寂しい、僕寂しい・・・」
と何度も何度も同じセリフを言いながら、2時間止まることなく、涙が枯れるほどに号泣し続けました。
この時期の長男は、人に対してとても優しく、きっかけがないのに、よく泣いていました。
154 5か月ぶりの我が家のお風呂
154 5か月ぶりの我が家のお風呂
2022年3月26日
長男が家のお風呂に入らなくなり5か月が過ぎました。その間に銭湯に行けた回数は10回以内だったと思います。
その日は私が、
「あー、もう長男と一緒にお風呂に入れないのかー」
「大きくなっちゃうと一緒に入ってくれなそうだもんねー」
と言うと、
長男は
「まー、そうだねー」
と笑っていました。
私が、
「お母さんと入るのが嫌なら、お父さんと一番風呂に入るのはどう?」
と聞くと、
長男は、
「うん・・・いいよ」
と言い、主人とお風呂に入る事になりました。
長男が、
「お母さん、おんぶで連れて行ってよ、足が動かない」
と言うので、私は長男をおんぶし、リビングから主人の入っているお風呂場に連れて行きました。
長男は服を脱ぐ時から、入ってからもずっと、照れているのを隠すかのように絶え間なく、一方通行な話を笑いながら話し続けていました。
主人は長男に、
「大きくなったねー、わーがりがりに痩せちゃってるじゃん」
と笑いながら長男に話しかけていました。
主人の顔をふと見ると、涙ぐんでいるようでした。私も普通に2人に話しかけるよう気を付けていましたが、目頭がじわーっと熱くなった事を覚えています。
なぜ私が何か月も当たり前のようにお風呂に入らない長男に、この日「お風呂に入る?」と聞いたかは覚えていません。
確かその頃、私がお風呂に入っていると、不登校以来一切近づこうとしなかったお風呂場に頻繁に来て、私に話しかけてくるようになったからだと思います。
2022年3月27日
次の日は主人がお風呂に誘っても無反応でした。
そりゃそうだよね、一気に毎日入るようにはならないよね!と思っていたら、私が1人でお風呂に入っている時に、お風呂場をうろうろうろうろ歩き周り、私に何度も話しかけてきました。
私が、
「一緒にどうですかー」
と誘うと、
長男は笑いながら、
「入る訳ないだろ!」
「ま、シャワーならいいぞ!シャワーだけだぞ!」
と言い、
服を脱ぐと、
「まー、いいよ、入るか!」
と私と目を合わさず、お風呂に入ってきました。
長男は、
「うわー、何だよこれー滑るー滑るー」
と照れ隠しなのか、湯船の中で滑り続け、ふざけて笑っていました。
不登校前までは「もー、1人で入ってよ!」と思う事もありましたが、その日は「わー、長男とまたお風呂に入れる日が来たんだー」と嬉しくて、やせ細ってはいるものの、体が大きくなった長男と2人で入るお風呂は、何とも不思議な気分でした。
5か月も入らなかった我が家のお風呂に長男が入った事は、私にとってとても嬉しい出来事でした。
私には長男がどんどん元気になっているように見えました。
次男が小学1年生、長男が新4年生になるまで、後10日ほどです。
153 次男の入学までの2週間
153 次男の入学までの2週間
2022年3月
小学校就学前の知能検査や検診時の振舞いで、学校側から「次男に気になる箇所はない」と言われていましたが、卒園式の様子や常日頃の人との関わり方を見て、この子は支援クラスの方がいいのかもしれないな、と思っていました。
長男の不登校がなければ、そんな事を考えたりはしなかったと思いますが、無理をさせたら学校生活が苦しくなるのではないか、長男のように次男も暴れ回る日が来るのではないか、と想像し私が勝手に怯えていました。
卒園式に出席できなかった主人に、
「次男、あの子だけ園長先生の所まで歩けなくて、私がおんぶで卒業証書受け取ったよ」
と言うと、
主人は、
「そっか、次男よく頑張ったね」
と言っていました。
卒園式の姿を見てから、私は入学式に次男がどんな行動をとるのかを心配するようになっていました。
4月で4年生になる長男の、進級時の対応を相談に行く際に、次男の事も相談していました。
新しい場所、知らない人に慣れるまでに時間が人よりかなりかかる事、兄から聞き続けている学校へのマイナスイメージのせいで、ただでさえ不安の強い次男が【学校は怖い場所なのだ】と怯えている事を話していました。
塾の先生に、入学前に担任の先生に会って安心感を与えておく、せめて教室だけでも見ておくと安心する場合がある、とアドバイスをいただきました。
学校に、入学式前に担任の先生に一目でも会えますか?と相談しましたが、それは難しいとの事でした。
次男は毎日毎日私に、
「学校は怒られるの?」
「学年が上がる度に怖い先生になるの?」
「どうやって怒られるの?」
「1年生の先生は怒らないの?」
と繰り返し繰り返し聞いていました。
私は、
「学校は楽しい場所だよ、沢山色んな事を教えてくれるよ」
と伝えていました。
次男は学校へかなり恐怖のイメージを抱いていました。
学校側には、次男が学校に恐怖を抱いてしまった経緯を話し、できない事を厳しく指導する事は避けてほしい、学校に足が向くだけで、今は良しとしたい、枠にはめ込み、できない生徒を厳しく指導する先生を担任にする事だけは避けてほしいとお願いしていました。