2024年1月の記事一覧
167 次男の脱走
167 次男の脱走
次男の立ち歩きは相変わらずでした。
担任の先生は
「大体、いつも廊下でゴロゴロ寝そべっています」
「でも、誰にも迷惑をかけません、授業を妨害したり、友達にちょっかいを出したりはせず、ただただふらふらしています」
「全く手はかかりません、僕も特に何も言わず、自由にさせています」
と言っていました。
・・・
当初私は、歩き回ると言っても、授業中に何度か離席してしまう程度だと勝手に思っていました。
ある時先生に、
「次男はどれくらい離席していますか?」
と尋ねると、先生は、
「まぁ、15分・・・」
と答えました。 私が、
「そうなんですね、15分くらい離席しているのですね」
と長時間の離席ではない事に、私が少し安心した様子を見せると、先生は言いにくそうに、
「いえ・・・15分というのは、一日に席に座っていられる時間です」
「それ以外の時間は、全て立ち歩いています」
と言いました。
「え・・・」
「一日15分しか座らないのですか?」
という私の質問に先生は、
「15分座っていたら良いほうです」
と答えました。
うわぁ・・・
私が想像していたよりも、はるかに酷く立ち歩きをしている事が分かり、
あ・・・聞かなきゃ良かった・・・胃が痛い・・・
と予想していた以上の次男の行動に、親としてどう対応して良いのか分かりませんでした。
その頃、次男は毎日靴下に穴をあけて帰ってくるようになりました。
本当に毎日毎日靴下の、足の裏の親指の下あたりの膨らんだ部分に500円玉位の大きさの穴をあけて帰ってきます。
靴下も、普通では考えられない位真っ黒で、どうしたらこんな風になるの?と思い次男に、
「おいおい(笑)これ、ネットでしか買えない高い靴下なんだけど!毎日破れてるよね!なんで?さすがに悲しいんだけど!」
と冗談交じりに聞いても、何も答えないので、先生に聞くと、
「まず、上履きを履きません、上履きを履かない上に、そのまま立ち歩きで校庭に出てしまいます」
「校庭に出る際、運動靴も履きません」
「先日はふらふらと正門から出て、家に帰ろうとしていました」
「さすがに危ないので支援員が止めました」
・・・
・・・
・・・
えー・・・
もう、無理じゃない?
次男は、学校、無理じゃん
えー・・・
そんな気分でした。
166 次男の授業中の立ち歩き
166 次男の授業中の立ち歩き
入学からしばらくして、娘のお迎え時間の関係で、次男の下校のお迎えに間に合わない事がありました。
次男はその事に不満を言わなかったので、その日から下校時のお迎えは行かないことになりました。
・・・
毎日毎日下校後、担任の先生から連絡があり、次男の立ち歩きや授業の不参加の現状を伝えられました。
「授業中はウロウロし廊下に寝そべっている」
「絵本の読み聞かせをしていると、教卓の近くまでふらふら来てしまう」
「視力検査、聴力検査も自分の順番にはやらず、周りの状況を観察し、一通り全員がやるのを見てから、最後に検査する」
担任の先生は、
「お母さんが入学前に言っていた通りの行動をしていますよ」
「周りの状況をまず観察しています」
「言えば言うほどやらない、というのも分かってきました」
「初めから話を聞いていたので、対応方法が分かり次男さんにペースを合わせのんびりやっています」
と言っていました。
・・・
入学前から学校に、押さえつける指導はしないよう、集団に合わせる為に無理をさせないように、とお願いをしていました。
先生は次男に対し「みんなと同じようにやりなさい!」と強くは指導していないようでした。
担任の先生は言うべきことは言わないといけないので、という言い方をしていましたが、 私は折れずに、
「先生のやり方に文句があるのではなく、次男には厳しい指導は逆効果になり、言えば言うほど何もしなくなるので、どうか理解して、タイミングを待ってあげて下さい」
とお願いし続けました。
締めるときは締めないと、と次男の担任の先生はよく言っていましたが次男に関しては、
「強くは指導しません」
と言ってくれました。
・・・
次男は授業中に立ち歩きが激しく常に離席していました。ある日、担任の先生が、
「いつも、離席は特に強く言っていませんが、今日は上履きを履かずに立ち歩きし、教卓前で転んだので、『転んだら危ないよ』『上履きを履きなさい』と強めに指導しました」
「その後、次男さんは涙を流し机の下に潜り、全く動けなくなってしまいました」
「上履きの指導をしてから帰るまで、一度も机の下から出ませんでしたが、帰宅後の様子はどうですか?」
「お母さんがおっしゃっていた、怒らないほうがスムーズにいく、の意味が何となく分かりました」
と連絡をもらいました。
その日は、私が娘を迎えに行き帰ってくると、次男は玄関でしくしくと泣いていました。
学校から事情は聞いていましたが特に何も言わず
「どうしたの?」
と聞くと
「何もない」
「学校怖い」
とだけ言い、次男はしばらくしくしく静かに泣いていました。
165 次男の朝の支度
165 次男の朝の支度
「学校に行かない」と声には出さないけれど、明らかに学校に行くと様子がおかしくなる次男を朝起こすことはとても苦痛でした。
朝7時に次男を起こすと、目を開け、まず一言目に「うるせー!」とか「だまれ!」とか酷い言葉を言われていたような気がします。
その言葉を聞こえないふりをして、次男をおんぶして寝室からリビングへ連れていきます。
この頃次男は、用意しておいた朝食には基本的に手を付けず、
「こんなもん食べられない」
「何か他のものがいい」
「これを作って、あれを作って」
と言いたい放題でした。
私はそんなわがままを聞くことにとても抵抗がありましたが、朝喧嘩をする事が嫌で、何も言わずに言うことを聞いていました。
食事をする時も、椅子の上に膝を立て、片肘をついて、見るからに不機嫌そうに食事をしています。
私が一言でも
「行儀悪いよ、足はおろしてよ」
と言うと
「じゃー、もう食べない」
と言ったり
「うるさい!」
と言って涙を流し机を手で叩き癇癪が始まります。
食事が終わると、次男はソファに寝転びます。
集合時間の10分前になっても、5分前になっても一向に準備はしません。
「間に合わないよー」
「着替えよー」
と言っても無反応です。
私が、
「通学団で行かずに、お母さんと2人で行くの?」
と聞くと、
「何でだ!通学団で行くに決まってるだろ!」
と泣き出す。
それでも一向に着替えようとしないので、私は大きな赤ちゃんを着替えさすかのように寝間着を全て脱がせ、服を着替えさせていました。
着替えさせられている間、次男はずっとテレビをボーっと見ています。
次男は幼稚園時代も特定の素材のシャツや締め付けのある服が苦手でした。
私が少しでも締め付け感のある服を選んで着替えさせると、
「嫌だ!嫌だ!気持ち悪い、無理、違うのがいい」
と暴れました。
私はなるべく締め付けのない緩い服を選び着替えさせていました。
一番困ったのは靴下です。
一年生になってから、次男は幼稚園時代には履けていた靴下の感触をとても嫌がるようになり、市販で売っている一般的な小学生向けの靴下を履かせると、
「気持ち悪い、気持ち悪い、何これ、きつい、嫌だ、うわーーーーー」
とのたうち回って泣くようになりました。
次男はソファに仰向けで寝っ転がりながら、靴下を履かせている私の顔を蹴るかのように、力いっぱい足をバタつかせて泣き出します。
特に足先の縫い目部分が嫌なようで、【ここ】が気持ち悪いと言いながら自分の足の指先をグーでパンチし続けることもありました。
幼稚園時代は何も言わずに履けていたのに、何で・・・
靴下以外にも服や靴など、身に着ける全ての物の素材、質感、着心地、履き心地に過剰に反応し、少しでも不快感があると激しく泣き、とても嫌がるようになりました。
私は縫い目がなく、締め付け感の少ない靴下をネットで探し、それを履かせると次男は、
「これなら履ける」
とその靴下だけは暴れずに履くようになりました。
やっと着替えが終わりました。
「学校へ行くよ」
とソファで寝転んでいる次男の腕を引っ張って起き上がらせ、手を引いて玄関に連れていきます。
玄関でただただ人形のように突っ立っている次男に、私がランドセルを背負わせ、帽子をかぶせ、足を持ち上げ靴を履かせ、無表情の次男と家を出て集合場所へ向かうのです。
164 体育の授業(次男)
164 体育の授業(次男)
担任の先生から、
「体育の時間、遊具説明をしていても話を聞かず、説明を待たずに好きに遊んでいます」
「列に並んだりはせず、自由でふらふらしています」
と言われました。
・・・
一番初めの体育の授業の時に、担任の先生から、
「体育の授業に参加しようとしていましたが、下のズボンしか着替えなかったので見学させました」
と連絡をもらいました。
私はどうすべきか少し考え、
「先生のおっしゃる事はごもっともです」
「ただ次男は【着替えないなら体育はやらせない】【体育をやりたいなら着替えなさい】で指導しても頑なにやらなくなるだけだと思います」
「着替えないうちの子が良くない事は重々承知していますが、幼稚園でも上履きを履く習慣を受け入れるまでにとても時間がかかり、受け入れてからは当たり前に履くようになりました」
「環境になれるまでは、体操服に着替えなくても、体育の授業をうけさせてもらえませんか?」
と伝えると、担任の先生は、
「汗をかいて風邪を引く可能性がありますし、衛生的ではありません」
と言いました、私は、
「風邪を引いても、汚くても、責任は全て我が家がとります」
と伝えると、担任の先生は、
「僕だけでは判断できませんので、上と相談します」
と言い、着替えなかった場合に、体育の授業を受ける事ができるかどうかは保留となりました。
先生に色々お願いする事は、過保護のようで、うるさい親に思われそうで、とても嫌でした。
163 4月前半、次男の下校時の様子
163 4月前半、次男の下校時の様子
次男は集団生活が困難な様子でした。
例えば下校時・・・
次男が、「授業後迎えに来てほしい」と言うので、私は毎日迎えに行きました。
次男は必ず、通学団が並んでいる集団の中にはおらず、下駄箱付近の日陰に1人でいました。
黄色い帽子を、前が見えないほどに目深くかぶり、ぺちゃんこ座りをしています。
遠くから見ても表情が一切ない事が分かります。
次男は自分のランドセルを背負っておらず、支援員さんがランドセルを持っていました。
周りでは元気いっぱいの新一年生たちが楽しそうに話しています。
・・・
通学団が出発すると、次男は列の最終尾につき、自分のペースで歩いてついていきます。
前の子と距離が離れ、副団長さんが声をかけてくれますが、声をかけられればかけられるほど、次男はランドセルの背負い紐をギューッと握り締め、小石を蹴りながら、頑なに自分の歩くペースを崩しませんでした。
私はその事については何も言わず、次男に、
「ねー、どうして下駄箱の所に座っているの?何でランドセルを背負ってないの?」
と聞くと、次男は、
「だって、太陽が眩しい、ランドセルは重たい」
と、前を向いたまま単調に答えました。
・・・
通学団の子たちが右側を歩いているのに、一人だけわざと左側を歩く、細い道で車も通るため私が、
「車来るから危ないよ、車の人にも迷惑だよ、団長さん困ってるよ」
「こっち歩こ、ねー、こっちを歩くんだよ!」
と強く言っても、体を固め動かないこともありました。
・・・
皆がスムーズにできる事が出来ない。
入学してから、全ての行動がそんなふうに困難でした。