34 帰宅後の無理難題
34 帰宅後の無理難題
この頃の長男は、私が次男の名前を呼ぶだけで、
「あー!」
「あーー!!!」
「あーーー!!!!!」
「あーーーーーーーー!!!!!!!」
と泣き叫ぶようになりました。
私と長男が落ち着いて話せる環境を作ろうと主人が、あの手この手で次男を私から遠ざけようとするのですが、次男はそれを察して、
「お母さん!」
「お母さん!!」
「お母さんがいい!!!」
と、泣き叫ぶので、主人がなんとか次男の気をそらそうと外に連れ出そうとするのですが、次男は絶対に主人と出かけようとはしませんでした。
この時期、長男は、私が次男と関わると荒れ狂うようになったので、我が家の平和のためには長男を立て直さなければ! と私はなるべく長男を優先的に構うようにしていました。
長男は次男が視界に入ると泣き叫び、次男に危害を加えるので、2人を近づける事ができず、同じ部屋にいる事はとても困難でした。
・・・
2021年10月8日(金)
この日の朝、長男と私は自転車で散歩に行きました。
ご機嫌で帰って来ると【NHKの0655】が始まっていて、長男は突然不機嫌になり、私に、
「君に罰を与えよう」
「今日、僕は学校を休むからな」
「これは罰である」
「テレビの時間に間に合わなかった罰である」
と、笑っているような、引き攣っているよう表情で長男は私にそう言いました。
・・・
集合時間になっても体が動かなかったようですが、時間になるとだるい体を引きずるようにして「お母さんと行く」と言うので一緒に学校へ向かうことにしました。
出発前には何度もトイレに駆け込み、しばらくの間出てきませんでした。
・・・
私が長男と歩いて正門まで行くと、2年時の担任の先生が、
「学校生活の不安を取り除けるのなら、長男が大好きだった支援員さんを配置できるか調整してみますよ」
と声を掛けてくれました。
・・・
その日の帰宅後、長男は30分間、獣が鳴くかのように泣き叫び支離滅裂な無理難題を言い始めました。
その日は長男の歯医者の予約が入っていたのですが、帰宅すると長男は、釣り上げたばかりの魚のように布団の上でのたうち回り、手に取るもの全てを壁に投げつけ、
「うぅぅぅぅぅぅーーーーーーーーーーーーーーー!」
「うゎーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」
「あーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!」
と叫び始めました。
あまりの暴れ方に、私は言葉を失い、ただ背中を撫ぜる事しかできませんでした。
長男は、わんわんと泣き叫びながら、
「お母さん、こないだの消しゴムは?」
と私に聞いてきました。私が、
「え、「遠いからまた行こ」ってなったやつ?」
と聞くと長男は泣きながらうなずいていました。私が、
「ごめん、ごめん、まだ行ってない!」
と謝ると、長男は、
「今すぐ買ってきて」
と泣き叫びました。私は、この子は今正常な精神状態ではないな、と思い、
「そっか・・・じゃあ今日は歯医者さんやめて、消しゴムを買いに行こう」
と言うと、長男は、
「歯医者は行く!」
と私を困らせました。私は長男に、
「どうしたいのか決めていいんだよ」
となだめても、長男は、
「行くの!どっちも行くの!」
と言うのです。私が、
「そっかそっか・・・」
と背中を撫でていると、長男が、
「遠いから100均で買っておくって言ったじゃん!」
と買ってきていない私の事をとても怒っていました。 私が、
「そうだね 買ってくるよ」
と諭すのですが、長男が、
「今すぐ行く!」
と言うので、私は100均へ向かうことにし、
「いいよ! 下の子達、連れてくるね」
と出かける支度をしようとしました。すると長男が、
「だめ!!!!行くのは僕だけ!!!!」
「あいつらは連れて行くな!!!」
「僕だけだ!」
と激しく泣き叫びました。幼い次男と娘を置いて買い物に行く事が心配で、私はとても困っていましたが、その間も長男はのた打ち回り、叫ぶように泣いていました。
顔を涙でぐちゃぐちゃにし、お腹の中から声を絞り出すように、聞いたことのないような声で唸り、とても苦しそうに、とにかく泣くのです。私は、
「分かった!取り敢えず、歯医者さんにキャンセルの電話だけさせて」
と長男に伝えると、
「歯医者も行く!断るな!行くんだ!」
と泣き、私は歯医者に間に合わせるため、歯医者の後に100均に行く事を提案しました。 その提案に対し、長男は、
「嫌だ、先に100均!!!!!絶対に先に100均!!!!」
と叫び、今この子には何も言わない方がいいな、と思い、
「分かった分かった、そうしよう」
「長い時間だから、弟と妹連れて行っていい?」
と下の子たちをつれて100均に向かおうとすると、長男は、
「ダメ!ダメ!ダメ!ダメ!絶対ダメ!」
と下の子を連れていく事を許しませんでした。
次男と娘は大人しくテレビを見ていたので、私は次男に、
「少しだけ待っていてくれる?」
とお願いをしましたが、 次男は、
「僕も行く!僕も行く!僕も行く!」
「ギャーーーーーーーーーー!」
「何で行ってはダメなんだ!」
と号泣していました。
・・・
あぁ・・・
あぁ・・・
どうしよう
と私は泣きそうになっていましたが、今は長男を優先させるしかない!と思い次男と娘に見つからないよう、そっと外出しました。
辺りが薄暗くなりはじめた夕方に、1時間以上の長い時間、幼い2人を家に残す事はとても心配でした。
・・・
長男は、車の中で一通り泣くと少しずつ落ち着き、私と買い物をしている間はご機嫌でした。
私は、買い物をしながらご機嫌に話しかけてくる長男と楽しく会話をしたいのですが、下の子たちは大丈夫かな・・・ と気持ちがソワソワし、長男の話を上の空で聞いていたように思います。
早く帰らなきゃ、早く帰らなきゃ、と思いながら帰宅をすると、2人は大人しくテレビを見ていてくれました。