136 外食先にて
136 外食先にて
2022年2月頭
バースデーカード事件以来、引きこもり、すっかり元気がなくなっていた長男が「お腹が空いた」というので、近くの中華料理屋さんに、娘と一緒に食べに行きました。
常は、外食を嫌がるのですが、その日は特には嫌とは言わず、出発時の様子もおかしくありませんでした。
12時前に行ったので、店内は空いていて、1人、2人、カウンターで作業服の方が食事をしているくらいでした。
注文をし、食べ始めると、長男はほとんど食べないうちに、
「お腹痛い」
「これ以上食べられない」
と言い、帰りたがりました。
私だけならば、すぐに帰るのですが、2歳の娘が、横で、ゆっくり食事をしていました。
「お母さん、これ、食べたい」など、話しながら、マイペースで食事をしています。
娘は全然騒いでおらず、私と会話をしているくらいでしたが、長男は急に、
「妹の声、うるさい」
「黙らせて」
「下品」
「嫌い」
「黙らせろよ」
「ウザい」
「早く、帰りたい」
「迷惑」
「もう、帰ろうよ」
と涙目になり、お座敷の席で、正座しながらジャンプする様に、「帰る、帰る」と言って聞きません。
私は娘に、
「おうちに持って帰って食べようか」
「お兄ちゃん、もう帰りたいから、いい?」
と聞くと、
「嫌だーーー、ここで食べたいーーー、まだお腹空いてるーーー」
と泣きだしました。
その声を聞き、長男は周りを見渡し、怯え、泣きながら、妹に、
「静かにしてよ!」
「わがまますぎる」
「自己中」
「うるさい」
と言い続けます。
あー、また始まった、長男と出かけると、かなり高い確率で発生する、このシチュエーション。両方の言う事を聞く事は物理的に無理、長男はパニック寸前で説得するなんて、出来るはずがない、2歳児も状況を察する事など出来るはずもなく、のんびり、ご飯を食べている・・・
困ったな・・・
結局、長男に「車の中で、少しだけ待っていて」とお願いし、娘に急いで食べさせました。
長男はやっぱり、全然回復していない。
外界が怖くて仕方ない。
人がいると怯え、すぐに帰りたくなる。
それを再確認した事に心が沈みました。
外食すらゆっくりさせてあげられず、食事をしているだけで、酷い言葉で責められている娘に対し、申し訳ない気持ちが生まれました。
帰宅すると、娘は外食先よりも全然騒いでいるのに、長男はその声には全く反応せず、ゲームに集中していました。
最近の長男は、柔らかな表情をする事はほとんどなく、いつも苦しそうな雰囲気でした。
無理に連れ出すのは止めよう。家にいた方が皆が平和だな。
メッセージカード以来、相変わらず友人に会う事が出来ず、弟とゲームをする事だけを楽しみにしているようでした。
弟まで、ゲーム漬けになり、悪影響な事は嫌でしたが、私に出来る事は、何もありませんでした。
行き渋りからすでに5か月が経過していました。
長男に回復の兆しはなく、次男の様子も明らかにおかしい。母親である私が、元気になる要素は、何一つありませんでした。
昔の、平和だった日々の事は、何も思い出せません。
いつか、我が家にも、普通の幸せは訪れるのだろうか?