116 久々に友人に会う
116 久々に友人に会う
12月になると、息子は完全昼夜逆転になっており、朝6時頃まで動画を見て寝落ちし、夕方5時ごろ起きてくる生活でした。
友人には誰にも会う事が出来ず、いつも、
「僕はぼっちだ、誰もいない、独りぼっちなんだ」
と言っていました。
「サッカーをやりたい、友人に会いたい」
と、言うものの、
「知っている子には絶対に会いたくない、遠出もしたくない」
と、相変わらず引きこもりでした。
行き渋りが始まった不安定な頃に遊べていた、別学区の親友にも、2か月以上会う事が出来ませんでした。
何度も誘われていたので、それを伝えると、顔が曇り自室にしばらく、こもりました。
12月中旬、息子がその友人と遊びたい、と言い出しました。
連絡を取り、すぐに遊ぶ事になりました。
友人が家に着くまで、長男は緊張した様子で家中をウロウロし、落ち着きなく歩き回っていました。
始めは緊張していたものの、ゲームを始めるとすぐに打ち解け、以前の様に仲良く遊び始めました。
その日から、ほぼ毎日、その友人と遊び、息子はその時間だけが、
「生きていて、楽しいと感じられる時間」
と、言うようになりました。
次男は一緒に遊びたくても、
「遊びたいけど、どうせ、入れてくれない」
「僕は、一緒に遊んではいけないんだ」
と言って、部屋の角にお山座りをして、楽しそうに遊ぶ兄たちを見ながら、無表情で、1人でゲームをしていました。
次男は、全ての事に極端に自信がなく、人とのコミュニケーションがうまく取れませんでした。
長男は、昼夜逆転している為、友人が来る16時頃は、まだ寝ている事が多かったのですが、「友達が来るよ」と声を掛けると、すっと起きてきました。
友人が帰る時は、ウロウロ玄関を歩き回り、下を向き、今にも消えてしまいそうな小さな、自信なさげな声で、
「また、遊びたいな」
と、伝えていました。
息子なりに精いっぱい頑張り、緊張して話している事が伝わってくる話し方でした。
友人が帰った後は、誰の目から見ても分かる程、表情が柔らかくなり、元気になり、家族にも優しく接するようになりました。
心が満たされれば、人は優しくなるのだ。という事を毎日、目の当たりにしていました。
別学区の親友には会えるようになりましたが、同じ学区の幼馴染の親友に、会う事はできませんでした。
何度も何度も誘われていましたが、
「遊びたいけれど、同じ学校だから、会いたくない」
と言い、断っていました。
学校に行っていなくても、部活へ行けたり、友人に会えたりする子がいると聞いていました。息子の不登校の症状は、年齢の割には、なかなか酷い状態なのではないか?と思うようになりました。
どうしてこんなに人に会う事に憶病になるのだろう?
私には、息子の気持ちは理解できませんでした。