138 次男の塾の体験
138 次男の塾の体験
次男が、塾の体験に行きました。不登校や発達障害グレーゾーン等で、集団生活、学習に困難を抱える子の通う塾です。塾を知ったきっかけは、長男の不登校相談でした。塾の内容が、次男にも適しているように感じ、体験を申し込みました。
新しい場所に行く事が苦手な次男は、行く事をためらいました。
「どんな、場所?先生怖いの?何するの?怒られるの?」
マイナスな質問ばかりしていました。
私は、
「先生は凄く優しくて、パソコンとかで、次男の好きな事、得意な事を見つけてくれる場所だよ」
「きっと楽しいよ!帰りにケーキ買って帰ろう!」
と言い、体験に行かせました。
その塾は、個人宅を塾用に借り、学習スペースとして改造している、一軒家です。
ほとんどの生徒が、人に会う事が苦手なため、基本的には、予約時間には先生と生徒しかいない、と言っていました。
インターホンを押し、先生が玄関まで迎えに来てくれました。次男は一歩も中へ入れません。
「行かなきゃダメ?」
と、私に聞いてきます。
先生が、
「絶対に無理しないで、嫌なら無理はしないでね、気持ちが向く時に来たらいいんだよ」
と言い、放置し過ぎず、話しかけ過ぎずな感じで、話しかけていました。
それでも、次男は「帰る」とも「入る」とも言わず、玄関前で立ちすくんでしました。私は、特に声を掛けず、先生に全て任せていました。
10分程すると、次男が、一歩一歩中に入り、またそこで固まる、そんな事を繰り返していました。先生は、
「気にしないで、彼のペースで、待ってあげてください」
と待ち続けてくれました。
学習部屋は2階なのですが、次男は1階、2階全ての部屋を見たがりました。先生が、
「皆同じ反応をします。ここが安全な場所か、何があるか、確かめると不安が少しずつ取れてくる子が多いので、見て安心するなら、全部みていいよ!」
と次男に言い、次男は全ての部屋を覗きに行きました。
階段を上る際は、私にしがみ付き、登って行きました。
本来は、母親は付き添わず、生徒と先生の2人なのですが、次男が付き添いを希望したため、先生が、
「お母さんもどうぞ」
と同じ室内に入る事になりました。
次男は学習部屋に入ると、押し入れも全て開け、その後、頭を抱え床にうずくまり10分程貝のように動かなくなりました。先生は、
「よくある事です」
と言い、また、待ち続けてくれました。
私は、一般の子はスムーズに指示に従えるのだろうな、どうして、我が子達は全てがスムーズにいかないのだろう?何がいけないのだろう?そんな思いがありました。
次男は、何一つ強制されない事で、少しずつ心を開き始め、そろり、そろり、と椅子に近づき、反対向きに座ったり、椅子の上に立つなどしながら、やっと先生と向き合いました。
インターホンを押してから、30分近く経っていたと思います。
そこから、タブレットを使っての、先生と次男のやり取りが始まりました。
学習が始まると、次男は特に私の方を気にかける事もなく、集中して、頑張っていました。
授業後、先生は、次男の事を、
「個性を強く持っている子ですね」
と言い、
「児童精神科へ行くのなら、病名つけてもらい、それをうまく利用し、学校と付き合うと、学校側がスムーズに動いてくれる場合があります。次男君は能力は高いけれど、人、場所、新しい環境での適応が困難な感じだから環境さえ整えば、力をしっかり、発揮できると思います。大丈夫です」
と言いました。
この塾は、発達に困難のある子達の、何が得意か苦手か、短期記憶を見たり、コミュニケーション能力を細かく見て、対応方法、学習方法を分析し、少しでも子供達が過ごしやすくなるように、合う学習方法を探すと言っていました。
学習内容がアプリだったので、次男は、
「楽しい!通いたい!」
と言いました。塾の後、次男の顔は明らかにキラキラしていました。
どんな人と、どんな時間を過ごすのか、とても大事なんだと痛感しました。