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119 母親が元気になれば、回復する、と言う呪縛

119 母親が元気になれば、回復する、と言う呪縛 
 
 
 

不登校克服の本、ネット、相談所、色々な場面で、専門家が説く、

「まずは、母親が元気になる」 

「リラックスをして、笑顔でいる」 

「そうしたら、自動的に子供が回復します」

 

そんな言葉を何度も何度も目にしました。 

 

「おいしい物でも食べて」 

「好きな事をして」 

「母親がまず、元気にならなくちゃ」 

 

 
私は今でも、その意見には賛同できません。 

 

不登校児を抱えたお母さんが、どうしたら、笑顔になれるのか? 

 

そもそもが、母親が笑顔になれない、何らかの理由があり、それを感じ取り、子供は不登校になっているのではないか? 

 

そんなふうに思っています。 

 

我が子の場合はそれが大きかったと思います。 
 

 

 

私は、

「お母さん、楽しんで、おいしい物でも食べて、息抜きして、リフレッシュして」

等を言われ続けましたが、私が本当に不登校を受け入れるまでに1年以上かかり、その1年の間に、私自身がリラックスをするなんて事は、とても無理でした。 

 

リラックスはしようと思って出来る事ではありません。 

 

何をしていても、頭や心の奥の部分が苦しく、リラックスなど出来るような心境ではありませんでした。 

 

心が満たされ、心配材料がない時にしかリラックスは出来ないと思います。 

 

美味しいものを、食べたいという気持ちにもなりませんでした。

 

何をしていても、楽しくないのです。 

 

 

問題の程度にもよると思いますが、我が子は行き渋り始めから荒れ狂い、泣きわめき、手が付けられない程の状態でした。落ち着いてからも、昼夜逆転、ゲーム漬け、食事もとらず、お風呂も入らない。昼夜逆転しているので、私の子育ては、まさに24時間でした。 

 

そんな状況の中、自分に目を向け、よし、自分をリラックスさせようなんて、私には到底無理でした。 

 

どう、精神を保つのか、どう自分を癒すのか、そんな疑問が浮かぶ暇もなく、嫌でもやって来る苦しい毎日を、何とかこなしている、そんな日々でした。 

 

私は、行き渋りから1年程は、息子の事で精いっぱいで、自分をリラックスさせようなんて、考えもしませんでした。 

 

1年ほど経ち、問題は解決していなくても少しずつ、少しずつ、起っている出来事が現実である事を、心から受け入れられるようになり、頭や気持ちが整理されていくと、 

「毎日毎日、何なんだよ!やってられないな、美味しい物でも食べに行こ!」 

 

と、思える事もありましたが、外出先でも、

「あ、そろそろ起きたかな?お腹空いてるかな?寂しがってるかな?」と気になり、得体の知れないものに急かされ、みぞおち辺りに常に不快感がありました。 

 

急いで帰っても、大体の場合、息子は寝ていて、予想はしていても、言い現わしようのない、悲しく、苦しい気持ちになる。そんな日々でした。 
 
 


母親が元気になれば、不登校は解決されるという専門家の助言は、ほとんどのお母さんにとって、的外れなのではないかと思います。

 

なぜなら、子供が不登校でいる間は、その事から完全に解放されて、楽しい気持ちになることなど、できるわけがないからです。

  

子供に、何か少しでも回復の兆しが見えたり、元気な表情が見えると、それに安心して、母親が希望を持ち、少し元気になる、その母親の姿、雰囲気を感じ取り、子供がまた少し元気になる、またその子供の姿を母親が喜び、母親が少しずつ元気になっていく、そんなふうに、子供と母親がお互いを少しずつ、少しずつ、無意識に励まし合い、元気にし合っていくのだと思います。 

 

「まずはお母さんが元気になって下さい」「少し子育てから離れて、気持ちをリフレッシュして下さい」と言われても、当時の私には、到底そんな事はできませんでした。

 

元気になれ、と言われて、元気になれるものではないと思います。 

 

 

時を経て、時間をかけて、少しずつ、不幸に鈍感になる。 

 

自分を少しは癒そうと、自分自身の幸せに目を向けようと心がけ、表面上は笑える日もある。

 

それでも悩みは何も消えておらず、私は依然、出口のないトンネルの中で、光はどこにあるのか、と探し続けるのです。

 

 
元気にならなくちゃ、と努力すれば元気になる、というものではないと思います。

 

 

子供への対応を変え、状況が好転していく中で、母親自身が、少しずつ元気になれる時を待つしかないと、私は思っています。