29 不登校までのカウントダウン②ミシン
29 完全不登校までのカウントダウン②
2021年10月頭
この時期、朝娘を置いて長男の学校へ付き添う事が増え、娘の事が心配だった私は、遠方に住む姉と母に手伝いに来てもらう事にしました。
2人が来てくれたその日の朝長男は、こちらの話は一切聞かず「休む!」 と言い寝室へ逃げていきました。
長男はお休みが決まると、ご機嫌で折り紙をして遊び、答えを丸写しですが宿題も頑張ってやっていました。
退屈そうにしていた長男が突然「ミシンやりたい!」と言うので、私がやり方を教えると長男は楽し気に色々な袋を作り始めました。
長男がミシンに夢中になっている時に、次男が幼稚園から帰って来ました。
長男がミシンで袋を作っているのを見て次男もミシンをやりたがりました。
次男がやりたがったその時は長男が別の事をしていたので、次男に使い方を教えていると長男は、次男に向かって、
「下手くそ、バーカ、やめろ、そんな簡単な事も出来んのか!」
「お前は本当にバカだな」
と次男を否定し続けました。
次男はそれに無反応で、私も次男に教えながら長男の暴言を、なんとかスルーしていました。
すると相手にされない長男は次男の椅子の後ろに座り、一生懸命ミシンを使っている次男を椅子ごと一定のリズムで蹴り始めました。
「とん、とん、とん、とん、とん、とん、とん、とん」
次男の体が前後に揺れ、上手にミシンが出来ません。
見かねた私が、「やめてあげて」 とお願いしても長男は一向にやめずに蹴り続けました。
私はだんだん苛立ちが増し「ねー、一生懸命作っているよね、危ないって、やめてあげて!」
ときつく言うと長男はより一層強く椅子を蹴りました。
それでも次男は何も言いませんでした。
次男の頭が振り子のように同じテンポで前後していて、まるで蹴られている事に気が付いていないかのような振舞いで、長男には歯向かわずに固まりながら、ミシンをやり続けていました。
その姿は私の胸を締め付け急に次男を虐める長男の事が、憎くて、憎くて、たまらなくなりました。
別の部屋に姉と母がおり、毎日1人で感情を抑え、張り詰めていた緊張感がパーンと切れてしまったのかもしれません。
私は「もーーーーー嫌!!!!」 と言って家を出て、庭に停めてあった車に乗り号泣していました。
追いかけてきた母親は、
「分かるよ、分かるよ、よく今まで1人でやっていたね、どうやって毎日過ごしていたの?」
「下の子、可哀そうなの分かるよ」
「憎たらしいと思うよね」
「どうしたら良いんだろうね」
「下の子が、おかしくなってしまうよね」
と私を慰めていました。
私はその言葉にも、なぜかとても苛ついていました。
姉は長男に、次男虐めちゃだめだよ、と諭しているようでした。
多分ですが、母親が私に言った言葉を長男は聞いており、長男はしばらく部屋に籠り出てきませんでした。
食事の時間に何度か呼びましたが食べに来ませんでしたが、皆が食べ終わる頃長男はリビングに来て 「お腹すいた」 「何で呼ばないの?」 と文句を言っていました。
何度か呼んだ事を伝えましたが、 長男は、聞こえない、言われていないと不機嫌そうにしていました。
夕食に唐揚げを用意すると、
「気分じゃない、いらない、食べたくない」
といいました。最近は、毎回用意した夕食とは別の物を作らされていました。
・・・
夜は「明日休むー」と言い捨てて眠りにつきました。