121 2022年のお正月 長男
121 2022年のお正月 長男
年末年始は私の実家へ行きました。
実家に行く事はできても、長男は、皆のいるリビングではなく、2階の部屋で、ずっとゲームをしていました。
下の子は親族と出かけるのを楽しみにしていました。
長男は、きっと本心は出かけたくないのに、無理をして、
「僕も行きたい」
「何で!行っちゃダメなの?」
と言い、連れて行った先で、様子がおかしくなり、帰宅せざるを得なくなる、もしくは、周りが物凄く気を遣う状態になる。
そんな事の連続で、子供の全ての事に目が行き届いてしまう私は、いつも心が疲れていました。
幸い私の親族は、長男の全てを温かく受け入れており、出来る限り長男の希望に合わせようと、心底温かく、臨機応変に対応してくれていました。
おいて行けば、僕だけおいていかれた、といじける。
連れて行けば帰りたいとわがままをいう。
必ず、私にだけ聞こえるように、ずっと文句を言うので、
「いっそ、待っていてよ、出先で周りを困らせないでよ」
と、毎回思っていました。
我慢ができず、正直に気持ちを長男に伝えてしまうと、その後、最悪な事態が待っています。しばらく、落ち込み、体が動かなくなる、部屋から出ない、食事をしない、私の言った意見に対して100倍返しで攻撃してくる。そんな事ばかりが、繰り返されていました。
2021.12月31日
年越しに実家から歩いてすぐの神社へいきました。
小さな神社で、近所の人が神社の真ん中に焚かれた火で温まっていました。
長男は、その火に当たりながら、
「温かいね、綺麗だね、あ、僕少しブランコしたい」
と言い、敷地内になるブランコをこいでいました。
実家に来ている時は、知り合いに会うかもしれないという恐怖から開放されるのか、明らかに表情は明るかったのですが、それでも、昼夜逆転し、一日中寝っ転がりゲームをする生活習慣は変わりません。
2022.1月1日
祖父母が、子供達にお年玉をくれました。
毎年長男はお年玉をもらうと、
「誰からいくらもらった!」
「こんなに沢山になった!」
と言いながら、合計金額を計算したり、そのお金を使いたくて近くに買い物に行ったりするのですが、今年は貰っても中身を見る事はありませんでした。
中身を見ないどころか、貰ってすぐ、お年玉袋を近くの机に置き、ずっと、そのままでした。
そのお年玉袋は1年以上、開けられることはありませんでした。
とにかく、全てに興味を失い、無気力でした。
次の日にイルミネーションの綺麗な場所に連れて行きましたが、5分で帰りたがりました。
きっと、すぐに帰りたがるだろうと想定しており、2台で来ていました。
「先にお母さんと帰ろうか?」
と言うと、激しく抵抗しました。
それでいて、
「なにここ?楽しくない、意味あるの?」
と、私だけに聞こえる声で言い続ける。
下の子は、これがしたい、あれを食べたいとキラキラ光るライトの下で大はしゃぎで喜んでいるので、どちらに合わせればいいのか判断が出来ず、胃が痛くなり、
「あー、もう・・・私にどうしろって言うの!」
と、どこへ行っても苦しい気持ちになる。
何回同じシチュエーションになっても、何も悪くない下の子を我慢させる事、長男に振り回され、神経を使う苦しさに慣れる事はありませんでした。
その日は、珍しく主人が一緒に来ていて、イルミネーションの綺麗な広場で芸をする、大道芸人を見て、
「なんか、一生懸命何かをする姿っていいね、不登校前はそんな事あまり考えなかったけど、学歴なんて、どうでもいいよね、自分の好きな事をして、社会と関わり、一生懸命生きる、幸せに生きていてくれたら、それで十分だよね」
と、目に涙を溜め、しんみり話していました。
一緒に来ていた姉は、
「一緒にアイス食べれたね!」
「よかった!よかった!嬉しい!」
「少し、外出出来たね!」
「うん、うん」
と言って、目に涙を溜めていました。
8歳の子供がイベント会場に行き、アイスを食べる。
そんな当たり前の事に涙が込み上げてしまう程に、長男は周りから見ても、元気がなく、無気力だったのだと思います。