107 出された診断名
107 出された診断名
2021/12/3(金)
初めて医療センターに行った11月1日から1か月が過ぎ、2度目の予約日です。
今日、私に与えられていた診察時間は10分。
とても日当たりの良い、静まり返った診察室に入ると、前回と同じ、30代位の物静かな女性の担当医が、穏やかな口調で、
「お待たせしました」
と、微笑みかけてくれました。
私が、長男は連れて来れる状態ではない、と伝えると、
「いつか、待合室にでも連れて来られたら、連れてきて欲しい」
「待つ姿からも、様子を診察できます」
と、言われました。
前回の発育歴確認の続きからでした。
今回も、今の状態は、ほぼ話せていません。
担当医が、私が質問に答えている内容を、頷きながら聞き、パチパチとパソコンに文字を打ち込みます。
話が一区切りすると、先生が何かをプリントアウトし私に、さっと手渡しました。
そこに書かれていたのは、
【診療計画書 診断名 状態 (疑いも含む) 自閉症スペクトラム障害】
の文字でした。
ん?
何?
何の話?
私はしばらくの間、担当医が、誰の話をしているのか、理解出来ていませんでした。
そこから、先生と何を話したのかは、覚えていません。ただ無感情で、
「そうなんですね」
とか、そんな一言位しか発さなかったと思います。
担当医は、
「本人の性格や、こだわり行為は変えられない、周りが接し方のこつを掴むと、本人も、周りも、スムーズに生活し易くなります」
と、アドバイスをくれました。
こつ・・・
・・・?
こつって何だ・・・
30分ほど掛かる帰り道は、自分がどう帰って来たのか、あまり覚えていません。
ぼーーーーっとしながら車を運転していた様な記憶があります。
負の感情はないけれど、ここ数か月間に目まぐるしく巻き起こっている、出来事。 自分とは一生関係ないと思っていた出来事が、どんどん私の人生に入り込んできて、その情報の処理をする事に、脳が上手く反応していない、そんな感覚でした。
姉に話すと、
「自閉スペクトラム障害・・・学校に自閉スペクトラム障害診断を貰っている子で、長男君と、そっくりな症状の子がいるよ、やりたいことしか基本やらない」
と、言っていました。
長男は今まで、やりたくない事も、卒なくこなしてきました。
比較をした事はありませんが、むしろ、良く出来ている方だったと思います。
その点が、何だか腑に落ちませんでした。
本当に自閉症なら、場面に応じて、やる、やらないのコントロールができるのだろうか?
私の見解は、発達に偏りのある子を指導している先生が指摘した、過剰適応が1番しっくりきていました。
個性と言えば個性、でも、社会生活に支障が出たら障害と名前を付ける。
長男の場合は、不登校という形で、社会生活に支障が出ていると、判断された様でした。
発育歴に書いた、こだわりの強さ、そこで診断されているのだろうか?
そのこだわりの強さも、ゲームを始めてからは、かなり軽減されていました。
満たされ始めたら、様々な症状が、落ち着いてきている様に感じていました。
「今は、こだわりの強さが薄まっている」
「何だか納得いかないな」
「そもそも担当医は、本人に数分しか会っていない・・・」
ネットや、不登校関連本を見た限りでは、長男は典型的な不登校児の道を辿っており、自閉症診断は腑に落ちませんでした。
それでも私は、この本を購入し、読んでみました。
当時、私には、あまりにも発達障害の知識が無く、自閉症と自閉症スペクトラム障害の違いも、全く分かっていませんでした。
2013年?に自閉症の診断名の定義が変わり、自閉症スペクトラム障害と診断される患者は、かなり広範囲になった、と、担当医に言われました。
自閉症はもの凄く狭い範囲、黒の1点。
スペクトラム症は、かなり広範囲、軽い子は、ほぼ健常児である、と説明を受けました。
その説明を受けても、私の様に、自閉症について、全く知識のない親からすると、診断名に【自閉症】の文字があるだけで、医師から与えられるインパクトは、強烈でした。